2007年3月26日(月)「しんぶん赤旗」

誘致補助金――大企業への札束バラマキ競争やめよ

福祉・くらし・中小企業の応援こそ

兵庫・大阪で志位委員長訴え


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(写真)街頭で訴える志位和夫委員長=25日、神戸市元町

 日本共産党の志位和夫委員長は二十五日、兵庫、大阪の計四カ所でいっせい地方選挙応援の街頭演説をおこない、全国の「オール与党」自治体で競い合って進められている大企業誘致補助金の実態を告発し、「大企業への札束ばらまきをやめ、福祉、くらし、中小企業に使えの願いを日本共産党に託してください」と訴えました。

 志位氏は、兵庫では、「山を削り海を埋める」式の大型開発で大企業を呼び込む方式をつづけ、その象徴の神戸空港の破たんが明白になったと指摘したうえで、「驚くのは、この方式がゆきづまると、大企業に札束を直接ばらまくという最悪のやり方が始まったことです」とのべました。

 全国の自治体で、一社あたりの限度額が十億、三十億、五十億、八十億円というばらまき競争が始まっていますが、兵庫県では、限度額が青天井で、「日本一ひどい」実態です。

 志位氏は、松下電器一社だけで百七十五億円が投入される予定にもかかわらず、「雇用を増やす」という口実とは逆に、「増えているのは非正規雇用と職場の無法状態だ」と強調。松下プラズマ工場では、派遣社員二百三十六人にたいして、正社員はたった六人、しかも派遣社員は一年後には請負に切り替えられるという典型的な「偽装請負」であることを暴露しました。

 兵庫県では、中小企業が事業所の99・3%、労働者の81・5%で、百六十三万人を占めているのに、県の中小企業予算は年間七十九億円で、松下一社の補助金の半分にも満たない額です。志位氏は、「雇用を増やすというなら、中小企業にこそ手厚い支援が必要ではないか」と訴えました。

 志位氏は、大阪府でも、りんくうタウンや泉佐野コスモポリスなど巨大開発が破たんすると、大企業に札束をばらまく誘致競争にのめりこんでいることを告発。府議会は二月、一社あたり限度額を三十億円から百五十億円へと五倍も引き上げ、「限度額では日本一になった」実態を明らかにしました。

 大阪でも、誘致によって増えているのは正社員ではなく、不安定雇用だけです。府が誘致支援第一号として十億円の補助金を出した三洋電機・太陽電池工場は、従業員三百六十人中、二百十人は請負です。しかも、百五十人の社員中、新卒採用はわずか十一人、百三十九人は他の工場からの単身赴任で雇用はまったく増えていません。社員一人あたり一億円の大盤振る舞いです。

 志位氏は、誘致補助金は、千葉県では日立ディスプレーの子会社に九十億円、神奈川県では日産自動車に百八十五億円、三重県でもシャープ亀山工場に百三十五億円など、全国に広がっていることを挙げ、「このばらまき合戦、競争で大企業は潤うかもしれないが、被害にあうのは住民です」「空前のもうけをあげている大企業にばらまく札束があるなら、福祉に使え、くらしに使え、中小企業に使えと心から訴えたい」とのべました。


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