2007年3月24日(土)「しんぶん赤旗」

「密告義務」法案を可決

衆院本会議 警察に過大権限

共産党反対


 マネーロンダリング防止策として、保険会社や貴金属販売業者など全国二十二万事業者に「密告の義務」をおわせる「犯罪による収益の移転防止に関する法律案(通称ゲートキーパー法案)」が二十三日の衆院本会議で、自民、公明、民主、国民新各党の賛成多数で可決されました。日本共産党、社民党は反対しました。

 本会議に先立って開かれた内閣委員会で日本共産党の吉井英勝議員は、「マネーロンダリング対策に名を借りて、国民の権利と自由を過度に制限するもの」と法案撤回を強く求めました。

 この日、内閣委員会では、三人の専門家が参考人として意見陳述を行い、二人が法案の問題点を指摘しました。

 自由法曹団幹事長の田中隆弁護士は、「届け出が要求される基準は『犯罪である疑い』というあいまいなもので、業者は顧客をいったんは疑うことになり、自由な取引関係や信頼関係を破壊する危険がある。公安委員会と警察に広範で強権的な権限が認められている。情報が警察に蓄積され、四十五万近い事業所をチェックできる。これは日常的な経済生活が警察の監視下におかれることを意味している」と警告を発しました。

 一橋大学大学院法学研究科の村岡啓一教授は、「従来の行政庁による取り締まりの権限を、事実上国家公安委員会を頂点とする警察の管理下におくことになる。あまりにも大きな権限をあたえすぎる。懲役刑を科すことはあきらかに行き過ぎ」と懸念を表明しました。


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