2007年3月22日(木)「しんぶん赤旗」

政調費不正に新疑惑

演説会会場費に30万円

目黒区・公明

政治資金との“二重支出”


 政務調査費の不適正支出問題で、議員全員が辞職した東京・目黒区の公明党区議団(六人)の新たな領収書「偽造」疑惑が二十一日、本紙の調べで明らかになりました。同党が目黒区で開いた二回の演説会の会場費三十万円余を、税金から支出される政務調査費の「広報費」の名目で不正受給した疑いです。


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(写真)公明党目黒総支部が東京都選管に提出した領収書コピー(右)と、公明党目黒区議団が目黒区議会議長に提出した領収書コピー(左)

 問題の演説会は、二〇〇三年七月二十三日と十月十四日に目黒区文化ホール(めぐろパーシモンホール)で開催。目黒区芸術文化振興財団が発行した二件の会場費の領収書コピーが、公明党目黒総支部(支部長・東野秀平都議)の政治資金収支報告書と、同区議団の政務調査費支出報告書にそれぞれ添付され、“二重支出”していたことが判明したもの。

 公明党区議団の領収書コピーは、政調費不正問題を追及してきた堀田武士氏(60)が区への情報開示請求で入手。公明党目黒総支部の領収書コピーは、本紙が都選挙管理委員会に情報開示請求し、入手しました。

 公明党区議団と総支部が提出した二件・計三十万五千八百円の領収書コピーの日付は、同年六月十日と九月二十日。あて先は俵一郎区議(当時)、領収書発行番号も同じものでした。

 本紙が同財団に情報開示請求し、入手した文化ホール利用申請書の利用者名は「公明党」(六月二十日)、「公明党目黒総支部」(九月二十日)で、催し物の名称はそれぞれ「公明党時局公演会」「公明党時局講演会」としていました。

 二件の領収書で唯一違っていたのが、六月十日付の「公明党目黒区議団」と「公明党目黒総支部」のゴム印。区財団発行の領収書には、ゴム印はありません。同財団は「領収書を発行し直したことはあるのか」との本紙の質問に、「ありえない」と答えました。

 目黒区議会事務局は「事務局は領収書の内容までチェックしていない。(前区議)ご本人が説明すべき性格のものだ」としています。

 堀田氏は本紙が入手した領収書コピーを見て、「(二重支出は)初めて知った。組織的に不正をしていたとしか考えられない。政調費は税金から支出している。公明党は〇五年度以前の不正受給分も返還して、区民に説明し、わびるべきだ」と語りました。

 本紙は、俵前区議と、目黒区議団と目黒総支部の会計責任者だった川崎恵理子前区議に取材を申し込みましたが、回答はありませんでした。

詐欺罪に該当 当事者は説明を

 東京市民オンブズマンの佃克彦弁護士の話 政党が開く講演会の費用を、政務調査費から支出するのはそもそも目的外支出だ。演説会の会場費については、政治資金から出すことが認められている。政治資金の方から費用を出してもらいながら、政務調査費から支出するのは“二重取り”であり、詐欺罪に該当する。なぜこのようなことになったのか、当事者はきちんと説明すべきだ。


 公明党目黒区議団の政務調査費不正問題 目黒区は、議員一人あたり年間二百四万円を限度に政務調査費を支出。

 公明党区議団は昨年十一月、二〇〇五年度に支出した政調費の一部、約七百七十三万円を区に返還し、六人全員が辞職しました。自家用車のカーナビ代や車検整備費、観光バスでの団体旅行、有名料理店の食事代まで政調費から支出、沖縄県那覇市のタクシー会社の領収書には、「上目黒3丁目↓北新宿」と都内区間を書き込んでいました。



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