2007年3月20日(火)「しんぶん赤旗」

焦点論点

「弾道ミサイル防衛」

米先制攻撃戦略の盾


 政府は、第三国が発射する弾道ミサイルを迎撃ミサイルで撃ち落とす「弾道ミサイル防衛」(MD)計画を進めています。今月末には航空自衛隊入間基地(埼玉県)にはじめて地対空ミサイルPAC3を配備します。艦対空ミサイルSM3を発射するためのイージス艦(四隻)の改修作業も進行中です。日米で次世代型SM3の開発も進めています。

 日本の「弾道ミサイル防衛」は、アメリカを標的にしたミサイルを撃ち落とすものです。「日本を守る」どころか、「アメリカ防衛」の盾でしかありません。

米高官らが証言

 もともと「弾道ミサイル防衛」という考え方そのものが、アメリカの戦略です。

 アメリカは自国が攻撃されなくても、テロや大量破壊兵器の拡散の恐れを口実に、先制攻撃の戦争を始めることを公言しています。アメリカが先制攻撃の戦争を始めれば海外基地はもちろんアメリカ本土が反撃の標的にされるおそれがあります。そのため「攻撃戦力と防衛戦力の両方に依拠した抑止構想が必要」(〇一年五月一日、ブッシュ大統領の演説)だとして、攻撃も守りも最強にするというのがアメリカの考えです。

 この考えにもとづきアメリカは日本で、横田基地や嘉手納、三沢などの在日米軍のMD態勢を強化するとともに、日本に「ミサイル防衛」をおしつけているのです。日本の「ミサイル防衛」は、アメリカが安心して先制攻撃戦争を行えるよう保障するアメリカいいなりの軍事政策にほかなりません。

 実際、日本の「ミサイル防衛」が在日米軍基地やアメリカ本土を守るのが本当の役割であることは、米政府高官らの証言でもあきらかです。

 アーミテージ元米国務副長官らが作成し先月公表された日米同盟強化の報告は、日本の責任分担に「在日米軍区域を適切に守るためのミサイル防衛能力が含まれる」と明記しています。ローレス米国防副次官は、アメリカ本土向けのミサイルを日本が「撃ち落とせるのに撃ち落さないとしたらクレージーだ。そんなものは同盟ではない」とまでのべています(「産経」昨年十二月十八日付)。

 日本の憲法は、日本が攻撃されていないのにアメリカを守るために日本が参戦することを、集団的自衛権の行使として禁止しています。在日米軍基地やアメリカ本土を狙う弾道ミサイルを日本がミサイルで撃ち落すのは集団的自衛権の行使であり、憲法に照らして許されません。

 政府は二〇〇三年に「ミサイル防衛」導入を決めたとき、福田官房長官の談話で、日本のミサイル防衛システムを「第三国の防衛のために用いられることはない」(〇三年十二月十九日)と説明しました。ところが今では憲法の解釈を変えて、アメリカ向けのミサイルを撃ち落とすことができるようにすると安倍首相自身が主張しています。アメリカのためには憲法を踏みにじり、国民をだましてもいいという態度は絶対に許されるものではありません。

福祉予算を圧迫

 MDは「金食い虫」です。二〇〇七年度予算案でも千八百二十六億円が計上されています。前年度比約四百三十億円の増で、伸び率は30%をこえます。しかも、これからもどこまで膨れ上がるかわからず、社会保障や教育分野の予算がますます圧迫されるのは目に見えます。

 憲法違反が明白で、国民を苦しめる「弾道ミサイル防衛」計画は、国民にとって百害あって一利なしです。(論説委員会 山崎静雄)



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