2007年3月18日(日)「しんぶん赤旗」

生活保護行政の改善へ

シンポ開催

提言と運動確認

孤独死事件の北九州調査団


 北九州市門司区で生活保護を申請しようとした男性=当時(56)=が孤独死した事件から、ほぼ一年。同市の生活保護行政を調査した「北九州市生活保護問題全国調査団」は十七日、北九州市内でシンポジウムを開き、現地調査の結果と生活保護をめぐる同市の現状を報告しました。

 全国から学者や弁護士、福祉行政にたずさわる関係者らが多数参加。市民ら二百十人が会場に集まりました。

 全国調査団の井上英夫団長(金沢大学教授)は、「格差=貧困・不平等社会と生活保護」と題して基調報告。憲法二五条で保障された「生存権」の意味を解説するとともに、「権利は行使されて初めて力をもつ」として人権侵害を許さない運動の発展を訴えました。

 井上団長の基調報告を受けたシンポでは、弁護士の高木健康氏、北九州市で生活相談員をしている東喜美子氏、門司校区自治連合会福祉部長の猪原八郎氏、北海道生活と健康を守る会連合会の佐藤宏和氏が、それぞれの立場から生活保護行政をめぐる現状について報告。

 全国調査活動によって、申請書の不交付などの不適正な保護行政を改めさせる突破口が開かれた成果が語られると同時に、「生活保護の申請が受理されても、執ような『就労指導』で申請の辞退強要がされる」(東氏)、「生活困窮者や一人暮らしのお年寄りに対するケアを地域のボランティアに押し付ける傾向が強まっている」(猪原氏)などの問題があることも浮き彫りになりました。

 シンポジウムでは、北九州市生活保護問題全国調査団の調査結果などをもとに、ひきつづき全国各地の生活保護行政、社会保障制度の改善に向けた提言と調査活動をしてていくことが確認されました。



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