2007年3月8日(木)「しんぶん赤旗」

人間らしく たたかい 生きる シリーズ

雇用延長→給与3割減→偽装請負

労働者・共産党が是正要求

東芝


 実態は派遣なのに請負契約を装って働かせる違法な「偽装請負」を、労働者のたたかいによって是正させる動きがひろがっています。大手電機メーカーの東芝では、労働者が日本共産党と連携して労働局に告発し、偽装請負を是正させる取り組みを続けています。(中村隆典)


 問題の企業は、横浜市鶴見区にある東芝京浜事業所内で営業している東芝アイテック(従業員約四百人)。東芝の100%出資の子会社で、歴代の京浜事業所所長が社長に就任。京浜事業所の設計・製造業務を受注していました。

 同社は東芝社員の雇用延長制度の受け皿会社としてつくられたもので、労働者のほとんどが東芝を五十五歳で定年退職させられ、再雇用された人たちです。雇用延長なのに、給与は三割もカットされています。

 労働者は、東芝京浜事業所の職場に一人から数人ずつ配属されています。多くが東芝社員と一緒に働き、作業の指揮命令を東芝社員から受けています。実態は派遣です。

 製造業では労働者派遣法にもとづいて、雇用期間が一年(三月からは三年)を過ぎた派遣労働者にたいし、受け入れ企業が直接雇用を申し入れる義務が生じます。東芝ではこれを免れるために請負を装っていました。

 偽装請負を告発したのは、「東芝の職場を明るくする会」の労働者たち。東芝の職場から差別をなくし、労働者の要求を実現しようと活動を続けてきました。

 同会事務局長で、京浜事業所で働いている須佐明さん(54)は「京浜事業所には東芝アイテックをはじめ業務請負の構内業者が多数入っている。昨年夏ごろ、松下プラズマの偽装請負が社会問題になっていて、東芝アイテックも同じことをやっていることがわかった。再雇用で給与を三割もカットした上、偽装請負で働かせるなんて許せないと思った」と話します。

 現職の課長を「嘱託」として東芝アイテックに出向させてグループ長にし、指揮命令を東芝アイテック社員がしているかのように装っていました。しかも、実際の作業指示はこの課長ではなく、東芝社員がおこなっていました。

 東芝アイテック以外の構内業者に関しても、いわゆる一人親方の形で溶接工や機械工として多数の人がいくつかの請負会社を経由して働いており、その多くが偽装請負と変わらない実態にあることもわかりました。

 同会は昨年八月と九月に労働局に告発。同十一月には日本共産党南関東ブロック事務所の大森猛所長(元衆院議員)、はたの君枝参院神奈川選挙区候補(前参院議員)とともに、実態調査と改善の指導を求めました。

 東芝が現職の課長を東芝アイテックに出向させていたことについて、「『偽装請負』隠しではないか」という指摘にたいし、労働局は「子会社も含め、調査・指導をおこなっていきたい」と回答していました。

 東芝は偽装請負を改めて派遣契約に切り替えているものの、直接雇用をするに至っていません。

 「東芝の雇用延長制度は偽装請負を前提に成り立っていました。派遣契約に切り替えただけでは三年後に再び直接雇用義務が生じることになり、問題は解決しない。直接雇用に切り替えるなど、労働者の願いにこたえるべきです」と須佐さんは話しています。


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