2007年3月5日(月)「しんぶん赤旗」

6カ国協議 作業部会 きょうから米朝/7日から日朝

非核化と平和めざし


 六カ国協議に設けられた米朝国交正常化の作業部会が五―六日、他の四部会に先駆けて米ニューヨークで開かれます。七―八日にはベトナムのハノイで日朝国交正常化の作業部会が開催されます。各国は朝鮮半島非核化と北東アジアの平和と安全という六カ国協議の目標に向け、具体的な一歩を踏み出します。(面川誠)


 二月十三日の六カ国協議共同文書は、二〇〇五年九月十九日の同協議共同声明を具体化する初のロードマップ(行程表)です。北朝鮮が六十日以内に非核化への初期段階の措置をとり、三十日以内に五つの作業部会(米朝、日朝、朝鮮半島の非核化、経済・エネルギー協力、北東アジアの平和・安全のメカニズム)を設置します。米朝・日朝以外の三部会も今月中旬、北京で開かれる見通しです。

新秩序への試み

 東アジア史研究で知られるマコーマック・オーストラリア国立大学名誉教授は二月十三日の合意について、「北東アジアで米国の覇権的秩序に代わる多極的な新秩序へ向かう道を開いた」と指摘。「六カ国協議の枠組みがうまくいけば、安全保障、環境、食料、エネルギーなど共通の問題を扱うものとして制度化されるかもしれない。それは将来の地域共同体のさきがけだ」と強調します(『ジャパン・フォーカス』二月二十三日付)。

 北東アジアの新秩序への試みは何度もありました。韓国が八〇年代末から九〇年代初頭にかけてソ連・東欧諸国と外交関係を次々に樹立し、北朝鮮との相互不可侵、朝鮮半島の非核化で合意文書を締結した「北方外交」。二〇〇〇年の南北首脳会談。同年の米国と北朝鮮による「米朝共同コミュニケ」など。いずれも二国間の交渉によるものでした。今回は北東アジアの当事国がすべて参加する新しい動きです。

 六カ国協議の米首席代表、ヒル国務次官補(東アジア・太平洋担当)は二月二十八日の米下院外交委員会公聴会で、北東アジアでの「共同体の意識」が進展することに期待を表明しました。

北への見方慎重

 ブッシュ米政権が北朝鮮との協議に積極性を見せており、交渉の進展に期待感も高まっています。米朝作業部会の開催は一月のベルリンでのヒル次官補と金桂冠・北朝鮮外務次官の協議に続く二国間協議。マカオの金融機関の北朝鮮関連口座も近く一部凍結解除されると伝えられます。

 一方で、これまで国際合意を破り続けた北朝鮮に対しては、慎重な見方が支配的です。

 ネグロポンテ米国務副長官は二日、東京で記者会見し、二月十三日の合意は「第一歩」にすぎないと指摘。北朝鮮が初期段階の措置を履行し、核問題で確実な進展がない限り、北朝鮮の「テロ支援国家指定の解除」で「大幅な進展は望めない」とくぎを刺しました。

 ただ、北朝鮮の高濃縮ウラン計画については、過去に計画があったと「確信している」と言明する一方、今も計画が存在するかについては「中程度の確信」だと述べるにとどめました。「中程度の確信」との表現について、ニューヨーク・タイムズ紙一日付は、情報機関の定義によると「さまざまに解釈できる情報」だと伝えています。

 日朝国交正常化は、〇二年の日朝平壌宣言に沿って進めることが六カ国協議合意文書に明記されています。作業部会の日本代表、原口幸市日朝国交正常化交渉担当大使は二日の記者会見で、「国交正常化は拉致問題の解決がなければできない」と日本政府の立場を再確認しました。

全体の進展考慮

 一方で原口大使は、交渉方式は「『過去の清算』と『懸案事項の解決』」だと指摘。「作業部会は六カ国協議に参加した国が合意してつくった。日本も合意に沿うよう全力を尽くすし、北朝鮮も目的に沿うよう努力するのは当然だ」とし、六カ国協議全体の進展を考慮する姿勢を示しました。

 日本政府は、拉致問題で進展がない限り、六カ国協議で合意した北朝鮮へのエネルギー支援はできないとしています。原口大使は「進展」の基準について、「今の段階で言っても意味はない。解決に向かって意味のある進展があることが重要だ」と語っています。


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