2007年3月1日(木)「しんぶん赤旗」

伊吹氏の持論 昨年も連発

日本はどちらかというと単一民族(11月28日)

人権食べ過ぎメタボリック症候群(11月30日)


 伊吹文明文部科学相が、「(日本は)大和民族が統治した同質的な国」とか、人権をバターに例えて「食べ過ぎれば人権メタボリック症候群になる」などと発言し、問題になっています。しかし、今回突然出てきた発言ではありません。

 伊吹氏は、日本を「同質的な国」と発言したことについて、かつて中曽根康弘首相が「日本は単一民族国家」と発言して国内外から批判を浴びたことを念頭に、「単一民族なんていってない」と弁明しています。

 ところが、昨年十一月二十八日の参院教育基本法特別委員会でも、伊吹氏は「日本の国の成り立ちとしては、どちらかというと単一民族、単一国家、単一文化という国で来た」と言い切っています。

 日本には独自の民族的存在であるアイヌ系住民や、強制連行などによって少なくない在日韓国・朝鮮人が生活しています。

 伊吹氏の発言は、内心の自由をふみやぶって「国を愛する態度」を押し付ける教育基本法改悪の際に飛び出したものです。日本を「同質の国」とした今回の発言も、同氏の持論ではないのか。

 さらに、伊吹氏は「人権メタボリック症候群」発言についても「人権は大切だ」(衆院予算委、二月二十七日)などと弁明しています。しかし、この発言も、同氏の持論中の持論といえるものです。

 昨年十一月二十七日の参院教育基本法特別委員会で伊吹氏は、改悪前の教育基本法を肉、牛乳、バターに例えて、「栄養にいいと再三言ってきましたが、食べ過ぎたらメタボリック症候群になる。社会の状況に合わせて教育基本法や諸法令を変える」などとのべました。

 同特別委員会では翌十一月二十八日、今度は「個人の権利」を卵、牛乳、バターに例えて、とりすぎると「メタボリック症候群になる」と発言。さらに十一月三十日には、「人権」を牛乳、バター、肉に例えて「今や飽食の時代になって、食べ過ぎてメタボリック症候群だ」と攻撃しました。

 伊吹氏といえば、かつて失業者を「怠け者」だと発言したことでも知られます。二月二十七日の衆院予算委で追及を受け、「人権は大切だ、個人の権利は大切だ」とことさら強調してみせましたが、底が割れています。

 相次ぐ閣僚の暴言。安倍内閣の人権感覚の欠如ぶりは隠しようがありません。


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