2007年2月24日(土)「しんぶん赤旗」
ウラン濃縮活動拡大
IAEA報告 安保理で対応協議へ
イラン
【ベルリン=中村美弥子】国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ事務局長は二十二日、イランが国連安全保障理事会の決議に反してウラン濃縮活動を継続、拡大していると明記した報告書を安保理とIAEA理事会に報告しました。安保理はこれを受け、イランへの追加制裁など今後の対応について協議に入ります。
報告書によると、イランは中部ナタンツのウラン濃縮施設で、百六十四基の遠心分離機から成るカスケード(分離機を連結した装置)二つを稼働させ、断続的に濃縮を継続。さらに二つのカスケードも完成寸前だといいます。一月には、濃縮ウランの原料となる六フッ化ウランガス八・七トンが搬入されました。
また、西部アラクでは、核弾頭に用いられる核分裂性物質の生産が可能となる重水炉の建設が継続していると指摘。IAEAが求めた情報を提出せず、施設への監視カメラ設置や査察官の立ち入りを拒否するなど、イランの非協力的な姿勢を批判しています。
国連安保理は昨年十二月二十三日に全会一致で採択した制裁決議で、イランに対し、ウラン濃縮活動を今月二十一日までに停止するよう要求。重水炉建設の禁止と、核関連物質や弾道ミサイルの禁輸を定めました。イランが従わない場合は、国連憲章四一条に基づき新たな経済制裁を科すと警告しました。
新たな制裁としては、イラン当局者の渡航禁止や、現在はウラン濃縮活動に関連する物資・技術に限られている禁輸の対象拡大などが検討されているといいます。
安保理での対イラン追加制裁協議では、制裁強化を求める米国などに対して、常任理事国のロシアと中国が難色を示す可能性があり、協議の難航が予想されます。

