2007年2月22日(木)「しんぶん赤旗」
UR(公団住宅)の改善 共産党の考えは?
〈問い〉 UR(公団住宅)に住んで20年、年金暮らしとなり、7万円近い家賃負担はつらいです。これからも家賃見直しが続けばどうなるのでしょうか? 貴党の考えをおしえてください。(東京・一読者)
〈答え〉 現在のUR(公団住宅)家賃の決め方は、一言でいえば市場家賃です。つまり民間の賃貸住宅家賃にできるだけ近づけることを基本においています。与党、民主党などで03年成立させた「都市再生機構法」でそれがいっそう促進されました。
しかも「家賃改定ルール」により3年ごとに見直しをおこなうため、建築後相当年数を経ていても、便益がよいところに立地している団地は、デフレ経済で民間家賃が値上がりしていないのに、値上げするという逆転現象もでています。
公団住宅発足当初は「中堅所得者」を入居対象にしていました。したがって都市部の勤労者や共働き世帯が多く居住し、高家賃でも何とかやりくりをしてきたのです。ところが現在の居住者の実態は、60歳以上の世帯主は55%、70歳以上は27%に達するなど、高齢化がすすんでいます。また世帯収入も低下傾向にあり、年収446万円未満の世帯が68%を占め、世帯収入の主な内容も、「年金中心」が33%と、「給料中心」の32%を上回るものになっています。(2005年9月の公団自治協アンケート調査)
こうした実態はUR住宅居住者の家賃負担が重くなっていることを十分類推させるものです。
なぜこのようなことになったか。それはこの間の政府の住宅政策が「官から民へ」の流れにそって、国・地方自治体の公共住宅供給責任を大きく後退させ、民間市場の競争原理に委ねていることに起因しています。
昨年(06年)の通常国会には、自民、公明、民主党などの賛成で成立した「住生活基本法」では、大手住宅メーカーやゼネコンばかりが大もうけする住宅の市場化を促進する内容が盛り込まれました。
昨年末の、「規制改革・民間開放推進会議」の第3次答申で「都市機構が保有する賃貸住宅77万戸は規模が過大」として「公営住宅階層(低所得階層)の居住者が多い団地は地方自治体に譲渡すべき」とUR住宅の大幅削減を提言しています。
日本共産党は「住宅は生活の基本であり、憲法25条で保障された国民の生存権の土台となる社会的資産」と位置づけています。そしてUR住宅についていえば、「住み続けられる家賃にするため、家賃は負担能力を考慮したものにします。高齢者や子育て世帯への家賃減額制度をつくるなど家賃制度を改善します。老朽化した団地についても一律建て替えでなく、改修やリフォームなど多様な住宅改善をすすめ、誰もが戻って住み続けられるようにします」と「いっせい地方選挙にのぞむ各分野の政策」で明らかにし、その実現にとりくんでいます。(高)
〔2007・2・22(木)〕

