2007年2月17日(土)「しんぶん赤旗」

そもそもけいざいワールド

ヘッジファンドって何?


 為替、株式、商品などの市場で変調が起きるたびに、ヘッジファンドの“暗躍”が話題になります。十日開かれた七カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)では、ヘッジファンド対策も議題になりました。実体が謎に包まれたヘッジファンドについて考えてみました。(北川俊文)


内輪の“投資クラブ”

 そもそも、ヘッジファンドとは何かについて、誰もが納得する定義はまだないようです。

 資金を募って為替や株式や商品などに投資し、利益を分配するファンド(基金)で、投資信託の一種ともいえます。

 しかし、規制を逃れるために会社の形をとらないことが多く、規制がないか、緩いタックスヘイブン(租税回避地)に名義上の本拠を置くのが常です。ファンド・マネジャーと呼ばれる運営者が私募で出資者を集め、資金運用を一任される内輪の“投資クラブ”のようなものです。運営者の報酬は運用実績しだいで、何が何でももうけなければならない宿命です。

 名前の由来は、ヘッジという手法にあります。それは、取引に伴うリスク(危険)を回避するために、リスクを相殺する反対の取引を組み合わせて行うことをいいます。

 ヘッジファンドは、コンピューターを駆使した“金融工学”で新手のヘッジ戦略を次々と編み出します。それを売り物にして出資者を募り、市場のすきを突いて投機で荒稼ぎします。

通貨危機でも“暗躍”

 一九九七年のアジア通貨危機も、タイのバーツを割高とみたヘッジファンドがバーツを売り浴びせたことが引き金になったとされます。国際通貨基金(IMF)の報告書は「有力なプレーヤーではなかった」としてヘッジファンドを擁護していますが、ヘッジファンドの実体はどの国の金融当局も十分つかめないのが現実です。実際、一部のヘッジファンドはこの危機で大もうけしたことを認めているのです。

 推定ですが、世界のヘッジファンドは、その数が八千、資産規模が一兆四千億ドルにのぼるとされます。一年に、千ほどが淘汰(とうた)され、また同数かそれ以上が新規に現れるといいます。

 九八年のロシア金融危機では、二人のノーベル賞経済学者も擁した米ロングターム・キャピタル・マネージメント(LTCM)が予想をはずして破たんしました。昨年九月には、米アマランス・アドバイザーが天然ガス先物取引で六十億ドルもの損失を出しました。

 近年、ヘッジファンド自身の運用資産が増大しているだけでなく、公的年金基金や銀行などの機関投資家も運用先として利用するようになっています。日本の低金利も、金利の低い円を借り入れて米ドルなどに交換して運用する“円キャリー取引”に使われています。日本の低金利がヘッジファンドに投機資金を提供している形です。

日本でも大手振って

 影響が大きくなったヘッジファンドの動きを警戒する声が強まっています。もともと、法の規制を逃れる工夫を凝らした存在であるうえに、ヘッジファンドをめぐる脱税や不正が増えており、いったん破たんすれば、年金基金や銀行をはじめ、経済全体にも悪影響を及ぼしかねないからです。

 米証券取引委員会(SEC)や英金融サービス機構(FSA)などが銀行のヘッジファンド向け融資について、リスク管理の実態調査に乗り出しています。また、米格付け会社のムーディーズがヘッジファンドの格付けを実施し始めました。

 十日発表されたG7共同声明も、「ヘッジファンド業界および商品の急速な成長を踏まえ、われわれは警戒する必要」があるとしています。

 『動乱時代の経済と金融』や『投機マネー』の著者、今宮謙二中央大学名誉教授は、次のように指摘します。

 「ヘッジファンドは日本でも大手を振って活動しています。二〇〇五年に金融庁や日銀が国内の実情を調査し、日本の金融機関がヘッジファンドに大々的に投資している事実を明らかにしました。今回のG7に出席した尾身幸次財務相がヘッジファンドへの監視強化に消極的な姿勢を示したのが注目されます。投機の“自由”をさらに拡大したい財界の意向を代弁したものと思われます」

グラフ

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