2007年2月15日(木)「しんぶん赤旗」

峠三吉「原爆詩集」

推敲原稿、展示も

広島の資料館


 原爆詩人の峠三吉(一九一七―五三)が、「にんげんをかえせ」で有名な代表作「原爆詩集」を一九五一年に自費出版する直前の自筆原稿がこのほど見つかり、広島市中区の原爆資料館での展示に向け調整中です。

 原爆文学資料を収集している「広島に文学館を! 市民の会」(代表=水島裕雅広島大名誉教授)が今年一月、峠三吉のおいの峠鷹志さん(68)=東京都足立区在住=が保管していた原稿や書簡を預かったもので、同会は今月六日、原爆資料館に展示を申し入れました。

 原稿はB4判のわら半紙四十二枚。赤ペンや鉛筆で言葉の訂正や挿入、削除、入れ替えを繰り返して推敲(すいこう)した跡が残っています。冒頭に赤ペンで書き込まれた散文詩「これらのことばは/予言のうただろうか?/これらのうたは/前兆のことばだろうか?」は削除し、「命を失った人」を「命を奪われた人」に書き直しています。

 刊行された詩二十編の順番は同じですが、「倉庫の記録」は題名が「死の匣(はこ)〈負傷者収容所〉」から変更。原爆の非人間性を訴えようとする峠の心境の変化や、朝鮮半島での原爆使用が危ぐされた時代背景など、「原爆詩集」の成立過程をたどることができます。


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