2007年2月11日(日)「しんぶん赤旗」
リンナイ
消費者に問題と放置
パロマの教訓生かされず
不完全燃焼を防止するはずの安全装置のついた湯沸かし器が、一酸化炭素中毒を招く凶器となる――。死傷事故が相次いでいたことがわかった業界最大手のリンナイ製湯沸かし器事故も、昨年発覚したパロマ工業と同じように、当初消費者の使い方だけに問題があるかのようにされ、安全対策がとられることなく放置されていました。パロマ工業の安全軽視の湯沸かし器事故の教訓は生かされることなく、死亡事故がまた繰り返されました。
事故をおこしたリンナイ製湯沸かし器(二つの旧タイプ)は、一九九一年以降に販売された「開放型」と呼ばれる小型家庭用で、室内に排気がたまり換気が不可欠な方式。現在使われているのは二十万台程度とみられます。
同社によると、密閉した空間で使用すると、不完全燃焼をおこす可能性があることから、不完全燃焼を防止する安全装置が装備されていました。二〇〇〇年の一酸化炭素中毒事故などで、換気不十分な場合、バーナーのそばにある不完全燃焼を感知するセンサー(検知器)にすすが付着してしまい、ガスを止める安全装置が正常に働かなくなる問題をつかんでいました。しかし、同社は、消費者の使い方に問題があるとして、一般的に換気を呼びかけただけ。
湯沸かし器の事故は、いずれも「まれなケース」(同社)として消費者の換気不足ですまされ、安全装置に問題があることは公表されず、点検も回収・改善も怠ってきました。「改良した安全装置を装備したのは一九九九年製から」(同社)といいます。
二月七日に横浜市内の死亡事故が起こってようやく、同社は対策会議を開き、旧タイプでの事故分析と修理などに必要な部品調達の検討に着手したといいます。
これまで販売メーカーの報告をうのみにして、情報開示や安全対策をとらせてこなかった経済産業省の責任もあらためて問われています。(宇野龍彦)

