2007年2月10日(土)「しんぶん赤旗」

アフガン増派で対立

NATO非公式国防相理事会 独など軍事偏重批判


 【ロンドン=岡崎衆史】北大西洋条約機構(NATO)非公式国防相理事会が八日、二日間の日程でスペイン南部のセビリアで開かれ、アフガニスタン駐留のNATO部隊の活動をめぐって論議しました。現地からの報道によると、旧タリバン政権部隊の攻勢を前にNATO部隊の増強を求める米英両国と、これに消極的なドイツ、フランス、イタリア、スペインなど欧州大陸主要国の対立が改めて浮き彫りになりました。


 現地で記者会見したゲーツ米国防長官は「各国は約束したことを実行しなければならない」と述べ、欧州各国政府に部隊増強を要求しました。NATO首脳は最大約二千五百人規模の追加派遣を加盟国に要請したもようです。

 これに対しドイツのユング国防相は、旧ソ連が十万人の部隊を投入してもアフガン侵略を成功させることができなかったことを例に挙げ、「軍事的手段についての論議を強めることが正しいとは思わない」と発言。米英の軍事偏重を暗に批判し、復興問題を重視するよう訴えました。

 現在アフガンにはNATOが指揮する国際治安支援部隊(ISAF)の約三万五千人が駐留。そのうち米兵が約一万四千人、英兵が約五千二百人です。米兵はこのほかに一万二千人が独自にタリバン掃討作戦を実施しています。ドイツ、フランス、スペイン、イタリアの兵力は合わせて約六千五百人です。

 米国は一月末、アフガン駐留部隊のうち三千二百人の駐留延長を発表。英国も三百人の増派を明らかにしています。両国は、部隊増強と、激戦地である南部への部隊派遣を、他のNATO諸国に求めてきました。

 これを受けドイツ政府は七日、多目的軍用機トルネード六機をアフガン南部に派遣することを決定しました。しかし、偵察で得た情報のNATO部隊への提供は、同部隊が危機的状況に陥った場合に限定され、戦闘参加もしないとするなど活動を厳しく制限しています。ドイツとともに、フランス、イタリア、スペインは南部への地上部隊の派遣を拒否しています。


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