2007年2月7日(水)「しんぶん赤旗」

社会リポート

核のゴミ埋めないで

住民ら条例制定の直接請求

高知県・東洋町


 コバルトブルーの海がきらめく高知県の東の玄関口、東洋町(人口三千四百四十六人)。この町の田嶋裕起町長が独断で原子力発電環境整備機構の高レベル放射性廃棄物最終処分施設候補地の公募に応募したことに町民や町議たちの多くは怒っています。六日午後、同町の有権者有志は、同町への放射性廃棄物の持ち込みを禁止する条例を制定する直接請求書を山岡七三十四(なみとし)同町選挙管理委員長に提出しました。(藤原義一)


 同町の生見(いくみ)海岸は年間九万人の若者たちでにぎわう全国屈指のサーフポイントです。

 六日午後、海岸近くの同町役場の前に、約四十人の町民が集まり、「応募撤回を」「核のゴミを埋めないで!」などのプラスターを掲げました。

 町民有志代表(69)が持った直接請求書の署名簿には、千四百五十二人分の署名が連ねられています。四十四人の町民が集めたものです。

 直接請求に必要な有権者(三千七人)の五十分の一(六十人)以上の有効署名を大幅に上回り、有権者の半数に迫っています。署名運動が始まったのは一月三十日夕ですから、急速な広がりでした。

 署名は、町に同施設などの持ち込みを禁止する条例をつくるためのものです。条例制定の理由として「我々東洋町民は、この自然豊かな東洋町を守り、安全な生活を未来に継承するためにも、全ての放射性廃棄物の持ち込みを禁止する必要がある」をあげています。

 同町長は、一月二十五日、町民の合意が得られたとして候補地への応募書を提出しました。合意の理由として(1)この問題の「勉強会」を一定やってきた(2)十人の町議のうち四人が応募に賛成しているをあげました。

 しかし、実際には昨年秋から町民の中から「ポンカンとサーフィンの町を守れ」と応募反対の声が起こり、一月十五日、町民有志が二千百九十三人分の署名をつけて応募反対の陳情書を町議会に提出しています。二十五日には、応募反対の請願書も町議会に提出されました。

 同町長の応募は、二つの請願書が町議会で審査される前でした。

 同町長は、昨年三月にも「応募書」を出し、同機構から町議会、町民の合意を得てからでも遅くないと返却されていた「前歴」もあります。

 直接請求書を提出した町民たちは、同日午後、同町長と会見。参加した女性たちから「今のやり方は民主的ではありません。議会にもかけずに勝手に出すというのはおかしい」「四国の宝物を捨てないでください」などの声が飛びました。


 高レベル放射性廃棄物 原子力発電所の使用済み核燃料からプルトニウムやウランを取り出した後に残る、きわめて放射能の強い廃棄物。放射能が問題ないレベルまで低下するのに数万年かかるとされています。国はガラス固化体にして地下三百メートルより深い所に埋める計画です。

 その埋設場所が最終処分施設です。原子力発電環境整備機構が、同施設の候補地を公募しています。

 現在、応募しているのは高知県東洋町だけです。


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