2007年2月1日(木)「しんぶん赤旗」

米ブッシュ政権

温暖化研究に圧力

科学者団体が表明


 【ワシントン=鎌塚由美】ブッシュ政権の政治的介入によって、政府機関の地球温暖化に関する研究結果がゆがめられていることが三十日、米科学者団体「憂慮する科学者連盟」(UCS)などの調べで明らかになりました。

 UCSが政府機関の気象学者にアンケートで調査を実施した結果、回答者の54%に当たる百五十人が過去五年間に政治介入があったと表明。その数は少なくとも四百三十五件にのぼります。これらの研究機関には、米海洋大気局(NOAA)や米航空宇宙局(NASA)などが含まれます。

 回答者の46%は、「気候変動」や「地球温暖化」などの用語を削除するように圧力を受けたと認めました。43%が研究報告の点検の過程で科学的所見の変更・編集を経験したと述べました。

 また「政府の説明責任プロジェクト」(GAP)は、気象学者四十人へのインタビューと情報公開法に基づく政府研究機関のメディア政策の調査を実施。広報担当者が研究結果を国民に広く知らせるのではなく、しばしば研究者と報道機関の接触を阻止してきた実態があると指摘しました。

 GAP調査では、NASAの気象学者のドリュウ・シンディル博士が、南極大陸での気候変動についての報告書を発表する際、広報担当者が同氏の研究所見の表現を大幅に薄め、メディアからほとんど注目されなかった実例を紹介。このほか、ハリケーンと地球温暖化の関連を研究している科学者は、繰り返しメディアでの発言を妨げられたなどの例も挙げています。

 UCSは今回、政府機関の気象学者千六百人にアンケートを送付し、二百七十九人から回答をえました。調査結果については「千六百人以上にのぼる気象学者を代表することを意図してはいないが、多数の科学者が個人的に(政治介入を)経験または研究成果の公表を阻止されたと認識している」とし、政治介入を否定してきたブッシュ政権を批判。「この(政治介入の)数はゼロでなければならない」と訴えました。


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