2007年1月23日(火)「しんぶん赤旗」
「決別宣言」後も談合
名古屋地下鉄工事で疑い 大林・鹿島など捜索
高値受注の手段維持 本紙指摘裏付け
名古屋市発注の市営地下鉄工事の入札をめぐり、大手ゼネコンを中心に談合していた疑いが強まったとして、名古屋地検特捜部は二十二日、競売入札妨害(談合)の疑いで、大林組や鹿島、清水建設=いずれも東京都港区=の大手ゼネコン三社の本社を家宅捜索しました。二〇〇五年末に「談合決別宣言」をしたはずのゼネコン業界。本紙はその直後に「高値受注へ新方式画策 大手ゼネコンが独禁法逃れ」(同年十二月二十九日付)と報じました。今回の摘発は、公共工事の高値受注のためには手段を選ばぬ体質が改められていないことを、裏付けています。
同地検は、大手ゼネコンが改正独禁法施行直前の二○○五年末の「談合決別宣言」後も受注調整を続けていたとみて、公正取引委員会とも連携し、同法違反(不当な取引制限)での立件を視野に捜査を進めます。
関係者によると、談合の疑いが浮上しているのは、市営地下鉄桜通線延伸工事。昨年二月と六月に入札が実施されましたが、ゼネコン各社は○五年十二月、今年実施予定の入札分も含め受注工作をした疑いが持たれています。
既に名古屋市発注の下水道工事をめぐる談合事件で、刑法の談合罪で起訴された大林組名古屋支店元顧問柴田政宏被告(70)が、同工事と同様に談合の仕切り役となり、落札会社や入札価格だけでなく、共同企業体(JV)の組み合わせまで決めていたとされます。
また、昨年二月の入札直前には、同市などに談合情報が寄せられたため、「決別宣言」後だったにもかかわらず、鹿島と清水建設をそれぞれ筆頭とするJVが落札予定工事を交換する「再談合」をした疑いも出ています。
本紙は「決別宣言」にたいして、独禁法が改正されても大手ゼネコンが引き続き高値受注を維持できるように、入札方式を変えようとしていると警告。大手ゼネコンが、公共工事をくいものにする構図は是正されないと指摘してきました。

