2007年1月22日(月)「しんぶん赤旗」

住民の承諾なしに“公道”廃止

東京 脱法的マンション建設

居住者の権利守れない


 大手不動産会社の阪急不動産と三井不動産レジデンシャルが東京都千代田区永田町二丁目に建設中のマンションで、「カミソリ分筆」などという脱法的ともいえる手法をとっていることが分かりました。近隣住民からは「偽装マンション建設反対」の声が上がっています。(橋本 伸)


 問題のマンションは、阪急不動産の関連会社が自社所有地に加え、料亭のあった土地を買収した千二百五十五平方メートルの敷地に地下一階地上十四階建てを建設しようというものです。

 「偽装マンション」と批判されるのには、主に二つの理由があります。

 一つは、隣地との境にあった幅四メートルの位置指定道路(公道扱いされる私道)を、隣地の住民の承諾を得ずに廃止したことです。

 この道路は、同地にあった料亭が一九六八年に私道を位置指定道路に変更するよう申請し、認定されたもの。そのさい、道路の両側の三十センチだけ開けて申請していました。

 マンション敷地所有者は、それが間にあることを理由に道路に接していないとして、道路に面した住民の承諾なしに道路を廃止しました。

 道路がなくなった結果、隣のビルとの距離が六メートルから二メートルに縮まり、建設されれば、隣地の住民に圧迫感を与えることになります。

 さらに、土地を分筆したり、合筆するさいは、隣地との境界の確認のため、隣地住民の確認が必要なのに、境界の確認をしないまま、分筆合筆を繰り返しました。それも、本地番を幅三センチとか六センチだけ残し、残りを分筆するという脱法的な「カミソリ分筆」というやり方で、境界確認を回避したのです。

 二つ目の理由は、マンション建設という名目ですが、六階以下は一戸当たりの面積が小さくつくられており、実際は事務所に転用されるのではないかとみられています。

 というのは、事務所用のビルより、マンションの方がバブル後の規制緩和で容積率がアップしたからです。また、問題の土地付近にはお店がなく、車がなければ買い物が不便なことから事務所に転用される可能性が大です。

 隣のサンハイム永田町の一階で不動産業を営む島田重光さんは「法の趣旨を逸脱する、こんな脱法行為が許されると、マンション建設現場近くの居住者の権利を守ることができないことになる。行政当局は、こういう脱法的マンションに建築確認をおろすべきではないと思う」と話しています。

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