2007年1月22日(月)「しんぶん赤旗」

列島だより

国保税下げさせた


 住民税増税に連動して国民健康保険料(税)が引き上げられ、「払いたくても払えない」という声が上がっています。住民と日本共産党の運動で国保料(税)を引き下げさせた鹿児島県大口市、三重県鈴鹿市のとりくみを紹介します。


鹿児島・大口

共産党 毎議会欠かさず要求

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 「やったな。共産党に軍配が上がった」。市内で自営業を営む男性(62)は国保税値下げの一報を知ったとき、こういってひざをたたいて喜んだと言います。

 鹿児島県大口市(おおくちし)は昨年の十二月議会で「国保値下げの条例改正案」を全会一致で可決し、二〇〇七年度から値下げが実施されることになりました。

 国保加入の一世帯当たり平均約八千円、全体では五千万円程度の減税を見込んでいます。

 日本共産党の畑中香子市議は〇三年の初当選以来昨年の九月議会まで十四回、毎回欠かさず議会で国保税の値下げ問題を取り上げてきました。

 「二人の子どもを抱えた妊娠七カ月の女性が、国保税を高くて払えず、保険証を受け取れないまま一度も病院に行ってない」という声や、「保険証が無く、顔面骨折の大けがの子どもを病院に連れていけなかった」母親の例もあげ、「市民から取りすぎた二億七千万円の積立金(当時は県下十四市中第二位)を取り崩せば値下げはできる」と隈元新市長に迫ってきました。

 当初は「値下げの考えはまったくない」と市長は答弁していました。

 変化が起きたのは昨年からです。

 日本共産党大口支部は、議会のたびに四千枚の「大口民報」を配布。畑中議員の国保値下げの奮闘ぶりを知らせ、市民の間で話題となってきました。

 保守系の議員からも「NHKのテレビで国保税問題の報道を見た。高くて払えない人が資格証明書を発行されて困っていた。あなたが言ってきた通りだ」と電話があり、この議員が市長に直接「畑中議員があれだけ言うんだから」と値下げを進言する動きもありました。

 六月議会で畑中議員の値下げ質問に市長は「非常に真摯(しんし)に受けとめ検討を重ねており、しばらくお待ちください」と答弁が変わりました。

 九月議会では「今までの議員のご質問をお聞きしながら、私どももできるだけ意に沿うように検討を重ねている」「被保険者の負担が少しでも軽くなるように下げる方向で慎重に検討させている」と回答。

 ついに十二月議会で値下げの提案となりました。

 このことは地元紙も取り上げ、畑中議員の自宅にも「あなたが言ってきたことが実ってよかった。ありがとう」(六十代男性)、「六月議会から市長の答弁が変わってきましたね」(五十代男性)と電話がありました。

 畑中議員は十二日、支部の人たちと国保世帯の市民を訪問、値下げを報告して回りました。

 同市内の男性(86)宅では、夫婦が「よかったなー。市民が助かるよ」と喜びがはじけました。

 畑中議員は「党支部の人たちの地道なビラ配布と、『高くて払えない』という市民の悲痛な訴えが私の支えでした。所得の無い人からも保険料を取り立てる、いまの国保制度は無慈悲なものです。ため込んだ基金は支払った加入者に返すべきだと一貫して頑張ったことが認められました。こんなにうれしいことはありません」と語りました。(鹿児島県・村山智)


三重・鈴鹿

2年連続 低所得者ほど効果

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 三重県鈴鹿市(すずかし)では、国民健康保険税を、二〇〇五年度、〇六年度と、二年連続で引き下げさせました。

 鈴鹿市は〇三年二月、いきなり国保税を30%も引き上げる案を出しました。これはひどいと民商や年金者組合の皆さんが市長室へ押しかけたり、議会では党市議団が追及しましたが、引き上げを〇三年20%、〇四年10%の二段階としただけで押し切られました。その七月の課税時には市民からの抗議が、連日市役所に殺到しました。

 その後〇二年度決算で、市が値上げの理由とした「六億円の赤字」が三億円も下回ったこと、また〇三年決算では鈴鹿市の国保税額が県下トップ、収納率は県下六十六位のビリという不名誉な順位になったことを、市議団は議会で何度も追及、「ワーストワンを返上せよ」とせまりました。さすがに市長も検討を約束、〇五年三月議会に引き下げ案を提案し、全会一致で可決され、〇五年度に5%引き下げを行いました。

 さらに〇五年には、滞納世帯が加入世帯の27・8%、じつに四軒に一軒が国保税支払いに困っていること、〇四年決算が基金と合わせて十一億円もの黒字になり、値上げ時の試算(値上げしても赤字になる)から十億円もの見込み違いになったことを指摘、市議団は「この黒字を市民に還元せよ」とせまり、〇六年度にもさらに5%の引き下げが実現できました。

 市議団は市側の出した数字やデータをしっかり分析、値上げ時の言い分を一つ一つ事実で検証し、引き下げの財源的な見通しも示す論戦を展開しました。また、国保運営協議会も重視し、〇四年には石田秀三議員、〇五年には森川ヤスエ議員が会長となって議論をリードしました。さらに民商や年金者組合、母親連絡会の要求交渉も、生の声を届けて市担当者の努力をうながしました。

 この二回の引き下げは、所得割の引き下げと軽減制度の活用により、とくに低所得の市民ほど効果があり、値上げ前と同水準にまで下がっています(図)。しかし、30%上げて10%下げただけですので、全体としては依然として高いことに変わりなく県下第二位、収納率はビリのままです。引き続きさらなる引き下げと減免の拡大をもとめて頑張りたいと思います。(石田秀三市議)

グラフ




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