2007年1月22日(月)「しんぶん赤旗」

改憲手続き法案

民主 成立へ時機探る

“安倍路線加担”の批判恐れつつ


 九条改憲の条件づくりとなる改憲手続き法案の成立にむけて、民主党が対応を探っています。

 同党の枝野幸男・憲法調査会長が昨年末の衆院憲法調査特別委員会で、「来年(二〇〇七年)の憲法記念日には国民投票法制が国会で成立していることを期待する」と発言するなど、自民、公明に先んじて期限を切った法案成立に積極姿勢を示してきました。

 ところが、民主党大会後の記者会見で小沢一郎代表が「政府・与党に結果として協力するような形もよくないかもしれない。政治的判断を近々しなくてはならないだろう」(十六日)とのべたのです。

 同党憲法調査会幹部の一人は「手続き法は改憲の中身とは別というのが民主党のタテマエだが、安倍首相が改憲姿勢を押し出す中で『安倍改憲路線に加担するのか?』という国民の疑問は当然出てくる」とこぼします。鳩山氏も「憲法(改定)の前提となる手続き法案をあげることで、点数をあげたい(安倍首相の)発想に協力することに対する政治判断がある」(十九日)とのべました。

国民はどうみる

 こうしたジレンマの中で同党関係者は、「ただでさえ対立軸が少ないという中で、憲法問題で与党と仲良くやっているのを国民はどうみるか。選挙が近づけば近づくほど法案の取り扱いは難しくなる」と述べます。

 一方で、民主党には、改憲手続き法案について、「民主党がリードしながら法案の中身、手続きの詳細を詰めてきた」(鳩山由紀夫幹事長、十九日)という自負もあります。自公民「合作」は民主「主導」だったというのです。

 枝野氏は〇五年二月の衆院憲法調査会で、「政権交代があった場合でも共通して一貫したルールこそが憲法に書かれなければならない」とのべ、「政権を担う意思のある政党」同士での協議を呼びかけました。これが呼び水となり、自公民による憲法改悪への「合作」にはずみがつきました。〇五年秋には衆院に憲法調査会を格上げした「特別委員会」を設置、昨年の通常国会に与党と民主党がそれぞれの改憲手続き法案を提出するまでになりました。そして、昨年秋の臨時国会で手続き法案の「修正方向」を合意したのです。

悪政の共同執行者

 ある民主党憲法調査会関係者は年明け、「いま、小沢代表を除いて、自公民の憲法担当者と執行部は法案の『早期成立』で認識を共有している」とまでのべました。鳩山幹事長も「反対でまとめることはない」と明言。「松本剛明政調会長、枝野憲法調査会長、簗瀬進同代理らでタイミングを勘案している」とのべ、法案成立へのシナリオを構想中であることを指摘しています。

 国民の声を恐れながらも、憲法問題という日本の進路にかかわる基本問題で自民党と同じ土俵に立ち、「悪政の共同執行者」となる立場には変わりない――ここに民主党の本質があります。

 自民、民主の「二大政党」による改憲合作に抗して、憲法守れ、改憲手続き法は許さない、の声で国会を包囲するときです。(中祖寅一)


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