2007年1月17日(水)「しんぶん赤旗」
宮崎・鳥インフルエンザ 農家が悲鳴
出荷できず収入ゼロ
1カ月の損失 200万円超
共産党県委と春名候補が調査
高病原性鳥インフルエンザの発生が、ブランド化のすすむ日本一の養鶏地・宮崎県を揺さぶっています。日本共産党の春名なおあき参院比例候補と党宮崎県委員会は十六日、現地・清武町と、隣接する宮崎市を訪問。養鶏農家と自治体関係者らと懇談し、実情を調査しました。
![]() (写真)宮崎市内の養鶏業者らから話を聞く春名、前屋敷の各氏=16日、宮崎市内 |
宮崎県は全国一のブロイラー産地。鳥インフルエンザを発生した養鶏農家はブロイラー用種鶏でしたが、ブロイラーを使わず特別な飼料を使った「みやざき地鶏」農家への影響も深刻です。
清武町の養鶏場で約四千羽の地鶏を飼育する養鶏業者(53)は「発生から出荷取引もすべて止まった。出荷できない鶏は肉質が落ちるし、エサ代もかかる」と言葉を詰まらせます。「養鶏を始めて六年目。やっと軌道にのりはじめ、新しいことに挑戦しようとした矢先に…」と困惑を隠しきれない様子で話します。
宮崎県では鳥インフルエンザが確認された十三日から、発生農家の半径十キロ圏内にある鳥の移動制限措置がかけられ、鶏や卵の出荷が禁じられました。区域内には発生農家以外に十六の養鶏場があり、計十九万四千羽が飼育されています。
移動制限区域の解除は、発生農家の防疫措置終了後、最短で二十一日。その間の養鶏農家の損失は大きく、「公的支援がなければ、やっていけない」との要望は、どの農家からも強く上がっています。
月平均の出荷量が一千羽という清武町の養鶏場では「一カ月のエサ代だけでも六十、七十万円かかる。移動制限がかかり、鶏の出荷ができなければ、収入は一円も入らない」と悲痛な叫び。一カ月の損失は最低で二百万円を超えるといいます。
移動制限区域からはずれている宮崎市の養鶏業者への影響も深刻です。市内で一万三千羽をブロイラー飼育する養鶏業者(78)は「注文のキャンセルが相次いだ。今後市場の暴落は避けられない」と悲痛な声をあげました。
徹底した原因究明がおこなわれなければ、養鶏業者としても、「予防策のとりようもない」と、個別業者の努力の限界を訴えました。
養鶏農家の要望を真剣に聞き取った春名候補は、「党としても防疫、支援制度の確立に全力を尽くしたい」と激励し、「国がきちんとした補償制度を確立して住民や養鶏農家の不安を取り除くことが大切」と県・国政に働きかけていくことを約束しました。
対策強化など県に申し入れ
春名候補は同日、前屋敷えみ県議候補らとともに、宮崎県に申し入れました。このなかで(1)感染を拡大させない対策の強化と感染ルートの解明(2)県民への的確な情報提供と相談窓口の設置(3)養鶏農家への助成措置(4)食品加工や飲食業など関連業者に対する実態調査と支援―などを実施するよう求めました。
応対した県農政水産部の黒岩一夫次長は「関係部署に相談窓口を設置した。農家への助成や融資は、いまある制度を適切に活用していきたい」とこたえました。


