機構変動から人類の未来を守る

切迫する気候危機

 「巨大台風で堤防が次々決壊し、町を飲み込んだ」、「北極の氷がとけて、海面が上昇」、「高温と乾燥が原因で、世界各地で山火事が発生」、――気温上昇によって、「100年に1度の異常気象」と言われるような事態が身近に起き、気候変動の被害が迫っています。
 いまの地球の平均気温は、産業革命前と比べて、約1度上昇したところ。今のままでは、今世紀末には4度を超える上昇になるといわれています。1度の上昇でも大きな被害が出るのですから、気温上昇には何としてもブレーキをかけなければなりません。

なんで増えたCO2?
問われる「浪費型の経済」

 そもそも、いまの気温上昇は何によってもたらされたのでしょうか。
 産業革命を契機とし、資本主義経済が進展するなかで、何よりも利益をうみだすことが最優先され、社会は大量生産、大量消費、大量廃棄など「浪費型の経済」へと突き進んできました。これを支えた化石燃料の大量消費は、森林や海が吸収できる以上のCO2の排出を伴い、これが「温室効果ガス」として機能し、気温上昇を引き起こしています。
 気温上昇をくいとめるうえで、いまの経済システムを続けていいのかが、鋭く問われています。

温室効果ガス(CO2)の量の推移

すぐにやるべきことは

 社会システムの見直しをすすめながら、いま迫られているのは、空気中での「温室効果ガス」の濃度を上げないようにすることです。そのために、日本共産党は次のことを提案します。

●2050年に温室効果ガス排出を「実質ゼロ」をめざす。2030年度の削減目標を引き上げる。
IPCCが公表した「1.5度特別報告書」(2018年)は、世界の平均気温の上昇が産業革命前に比べ2度上昇した場合、異常気象や海面上昇などによる被害リスクが、1.5度上昇の場合よりもはるかに高まることを警告しました。同報告書は、2050年ごろには温室効果ガスの排出を「実質ゼロ」にし、そのために2030年の削減目標の拡大が必要だと強調しています。

主要国の石炭火力発電の廃止期限

●石炭火力発電所の新増設中止、既存の段階的に停止します。
日本は、石炭火力発電は、125基が稼働中で、さらに21基もの新増設計画があることに、国連から「石炭中毒」と批判を受けています。
石炭火力は化石燃料でも特にCO2を多く出すことから、国連は、2020年以降の新増設をやめるように強く求めています。英国とカナダの提唱によって2017年に発足した「脱石炭連盟」は現在、欧州諸国やメキシコなど30カ国などが加盟、主要国が25~30年に石炭火力発電ゼロを掲げています。日本も「脱石炭」へふみだすときです。

●再生可能エネルギーの本格的導入、原発ゼロへ
有名な投資銀行であるラザードは、投資家向けに電源別の発電コストの比較を公表。コストが急速に安くなった風力や太陽光と比べて、石炭火力がその2.7倍、原発は4倍です。
「再生可能エネルギーは高コスト」という時代は終わりました。再生可能エネルギーに本腰を入れるべきです。
もちろん、再生可能エネルギーの発電施設を整備する際、乱開発ではなく環境への配慮は不可欠です。

電源別の発電コストの推移

●廃プラ対策を強化し、資源の循環型システムへ
「クジラの胃に大量のプラスチック」――世界では、毎年大量のプラスチックが生産され、その半分が1回限りの使い捨てです。毎年800万トンが陸から海へと流れ込み、生態系に与える影響は深刻化しています。
日本は、1人当たりの使い捨てプラスチックの廃棄量が米国に次いで2番目に多い国ですが、世界では、使い捨てプラスチック製品の製造・販売・流通の禁止する流れが広がっています。不必要なプラ製品を生産しないような発生元での削減対策に取り組むべきです。

2019年参議院選挙 個別政策(環境)
ホームに戻る
日本共産党オフィシャルサイト