1997年9月22日

第21回党大会にたいする中央委員会の報告(4)

 日本共産党第21回大会の1日目(22日)に、不破哲三幹部会委員長がおこなった「第21回党大会にたいする中央委員会の報告」(4)は、つぎのとおりです。


四、参院選での躍進をめざす活動は、当面の中心課題

 つぎに選挙戦の問題にうつります。

 来年の参議院選挙で、党の躍進を実現することは、当面の中心問題であります。その方針は大会決議案ですでに詳細に提起されています。ここでは方針の新たな発展を必要とするいくつかの問題を中心にのべたいと思います。

「必勝区」と「非必勝区」との垣根をとりはらう

 新たに検討すべき問題の第一は、「必勝区」を設定することがよいかどうかという問題であります。

 決議案では、「比例代表選挙での議席を大幅に増大させるとともに、選挙区選挙での躍進をめざす」としたうえで、「昨年の衆院選挙での躍進やその後の中間選挙での結果をふまえて、新たに必勝区を積極的に設定して奮闘する」という方針をしめしました。

 党中央は、その後のよりたちいった検討の結果、今日の情勢にこたえるためには、必勝区を「積極的に設定」する、いいかえれば、必勝区の数をふやすという決議案の方針を、もっと前進させる必要があるという結論にいたりました。それは、「必勝区」を設定してたたかってきた従来の方針を抜本的に発展させる、ということであります。

 「必勝区」を設定するということは、それ以外の選挙区では、当面の選挙戦では議席の獲得を中心任務にしないということに、おのずからなります。この方針は、これまでの政治的力関係のもとでは、必要かつ適切な方針であり、前回の参議院選挙でも、躍進に貢献しましたが、前回選挙以来の二年間に、選挙戦をめぐる状況に重要な変化が起こっています。

 第一に、党は昨年の総選挙で、自民党の得票の約四割の得票をえ、七月の都議選では約七割の得票をえました。都議選では、さらに議席、得票ともに自民党につぐ第二党の地位をえました。一連の全国的な世論調査でも、第二党あるいは第三党の位置をしめる場合が多くなっています。もちろん、政党の支持率の順位は地方によってまちまちですが、全国的に第二党の位置にあるということは、議席の点で、自民党への挑戦者として議席にもっとも近い位置にあるのが、日本共産党だということであります。これは、どの選挙区でも、議席を直接めざさないという受け身の立場をとることは許されない、という情勢が、現に発展しているということであります。

 もう一つは、この間の選挙戦で、全党的な努力の結果、有権者比の得票率の大幅な底上げに成功したという問題です。

 実際、わが党の有権者比の得票率を、比例代表選挙の結果について、都道府県別に比較してみますと、五年前、一九九二年の参議院選挙では、全国平均の得票率三・七九%にたいし、一%台にとどまった県が三県、二%台が十九県、三%台が十四県という状況でした。二年前の九五年の参議院選挙でも、全国平均の得票率は四・〇〇%にふえましたが、一%台が二県、二%台が十四県、三%台が十九県と、得票率三%台以下の県がまだ三十五県にものぼりました。

 この状況に画期的な変化が起こったのは、やはり昨年の総選挙でした。全国平均の得票率は七・四四%にほぼ倍増しました。都道府県別では遅れた県の躍進がめざましく、得票率一%台、二%台という県は一県もなくなり、三%台が一県、四%台が十二県、五%台が六県というのが比較的遅れた県の状況であって、全体として大幅な底上げを実現しました。

 三%台の一県は鹿児島県ですが、得票率は三・九三%でほぼ四%に近く、最低だったこの県でも、得票率は九二年参議院選での全国平均を上まわりました。

 投票総数にたいする相対得票率では、鹿児島県が六・七%で最低でしたが、九二年の参議院選挙では五%台以下が二十四県、九五年には十二県ありましたから、この面でも大幅な底上げに成功したことはあきらかであります。

 これまでも経験したことですが、党の躍進の時期には、これからも、あれこれの地方で飛躍的な前進はありうることです。七二年の総選挙での躍進のさいには、「必勝区」以外で当選者をだすという成果をかちとったことがあります。

 こういう情勢を考えて、今回の参議院選挙では、必勝区と非必勝区の垣根をとりはらい、全選挙区で、議席を争うかまえで、“自共対決”の選挙戦をたたかうことを方針としたいのであります。(拍手

 今回、ただちに議席に届かない場合にも、近い将来議席を現実に争うところまで成長・発展することをめざす、こういう意気込みとかまえで、すべての県で大幅な得票の躍進のために奮闘することが重要です。

 選挙戦がすすむなかでは、現実に議席をえるための重点選挙区の設定という問題は、当然でてくる問題であります。この問題は、地方党組織と緊密な連携をとりながら、党中央の責任で機動的に重点を判断し、その条件にふさわしい必要な支援措置をとることにする、その判断は党中央にまかせていただきたいと思います。(拍手

“比例を軸に”――政党選択を前面に

 つぎに“比例を軸に”という問題であります。

 “比例を軸に”、政党選択を前面に押しだすという方針は、最近の国政、地方選挙の一連の選挙戦で力を実証した、ためされずみの鉄則であります。直接政党を選択する選挙(比例代表選挙)がある国政選挙だけでなく、地方の議員選挙でも、日本共産党支持の大波のなかでこそ躍動的な勝利をかちとることができることが、くりかえし経験されました。

 わが党への関心と期待がますますひろがっているだけに、「党を語る」活動をおおいに強化して、もっとも広範な人びとのあいだに党への理解をひろげ、誤解や偏見をときほぐす仕事を系統的にすすめることは、いよいよ重要になってきています。

 新しい内容、新しい手法もふくめ、日本共産党に矛先をむけた反革新の攻撃は依然として根深くありますから、事実と道理によってこれをうちやぶる活動もひきつづき重視する必要があります。

 そのさい、これまでくりかえし強調してきたように、こちらの言い分を一方的に押しつけるのではなく、有権者の関心にこたえて「党を語る」努力が、ひきつづき大切であります。

 そういうなかで、比例代表選挙で、当然党支持票を大きく増やして議席の画期的な躍進をめざすことはいうまでもありません。同時に、選挙区選挙を積極的にたたかうためにも、政党支持を前面に日本共産党支持の大波をいたるところでつくりだすところに、躍進を実現するカギがあります。この土台の上にたってこそ、候補者の独自の魅力を縦横に発揮することができるのであります。

 “自共対決”で選挙戦をたたかうということは、自民党だけを相手にしていればよいということではありません。選挙戦そのものを、有権者の面前で、なるほど“自共対決”だといわれるようにたたかうことが大事なのであります。

 そのためには、社民党など、閣外与党として橋本自民党内閣の一翼をになっている諸党や、新進党、民主党など事実上「オール与党」陣営を形づくりながら、野党ポーズをとって国民の批判と要求をそらそうとする諸政党をも的確に批判し、選挙戦を名実ともに“自共対決”の政治戦にすることが重要なポイントとなります。

高知選挙区の特別の重要性

 三番目に高知選挙区の問題であります。以前社会党の参議院議員であった西岡るり子候補を高知県で擁立したことの特別な意義については、大会決議案でくわしくのべてあります。

 実際、高知県でのこの新しい方向が無党派層、旧社会党支持層はもとより、自民党支持層のあいだにも大きな反響をよんでいることは、現地から報告されています。全国的な期待と反響も大きいものがあります。この選挙で勝利をかちとることは、日本共産党と無党派勢力との共同を国政のレベルで発展させるうえで、先駆的な意味をもっています。また、一人区での革新・民主勢力と自民党政治との対決としても重要であり、重点的な努力をここにそそぎたいと考えています。

総選挙で不意打ちされない態勢を

 つぎに、総選挙の問題であります。自民党は、現在単独でも衆議院の過半数をにぎるところまで党勢をふやしてきました。また、新進党などの不振につけこんで、参議院での過半数獲得もねらっています。佐藤孝行問題でのイメージダウンは大きな問題ですが、だいたいこういう情勢のもとでは、自民党が、党略的な思惑から、自分のもっとも有利な時期に解散・総選挙にうってでる可能性が政局にはつねに潜在しているということを、よくみておく必要があります。

 そして、解散・総選挙という事態になったら、そこで、昨年の総選挙につづく躍進をかちとることは重要であり、それをかちとるための政治的条件はさらに大きくひろがっています。比例代表選挙での躍進と同時に、昨年は京都、高知の二選挙区の勝利にとどまりましたが、小選挙区での勝利をさらに拡大する成果をたたかいとることも、党の重要な任務になります。

 党としては、こういう情勢と任務を展望しながら、相手側がどんなやり方にでてきても、不意打ちされないという態勢を、内部的には十分にとっておくこと、具体的には、比例代表ブロックについても、小選挙区についても、候補者の検討を開始し、来年の春ぐらいまでには、内定しておくことが大事であります。これはあくまで内定であって、参議院選挙を前にして、候補者があまりにぎやかにでますと、足がもつれますから、その注意が肝心でありますが(笑い)、少なくともそういう内部体制はきちんととり、絶対に相手に不意打ちはされない、このことを強調したいと思います。

中間選挙といっせい地方選挙

 最後に、中間選挙といっせい地方選挙の問題であります。すべての中間選挙を積極的にたたかうとともに、明後年のいっせい地方選挙の準備にとりかかるという問題です。

 さきほど地方議員四千五十一人といういまの到達点をのべましたが、この地方議員総数は、各政党のなかで抜群の第一党であります。なお、ここでちょっと歴史にかかわる紹介をしておきますと、わが党の地方議員数が四千人をこえたのは、ことしの四月二十七日で、この日の選挙の結果、四千一人になりました。今回、九月二十一日選挙で四千五十一人になりましたから、約五カ月弱で五十人の増という記録であります。では、その前の五十人増にどれくらいかかったかといいますと、わが党の地方議員総数が三千九百五十人をはじめてこえたのが、なんと八九年四月であります。だから、三千九百五十人から四千人にいたるまでにまるまる八年かかったわけです。それが、つぎの五十人は、五カ月で達成したというところに、やっぱり情勢の躍動があるのであります。(拍手

 決議案でものべたように、前進したといっても、わが党の議員数は、議席占有率にしますと六・二四%、また全自治体の三一・七%にあたる一千四十六の自治体が議席空白であります。地方議員の増勢をさらに勢いづけ、地方住民の利益と地方自治をまもるわが党の議員団が、もっともっと地方政治のなかで比重を増すように努力をしたいと思います。

 とくに、都道府県議会や政令都市では議員数が少なく、まだ少数の議席しかもっていない場合も多いことを重視する必要があります。都道府県議会では、議員総数で第五党であります。提案権をもっているのは東京と京都の二つだけです。政令都市でも十二市のなかで、提案権は半分の六市にしかありません。これらの分野で、議席を伸ばすために重点的な努力をそそぐ必要があります。ここでは選挙区の定数が少ないということがいままで大きな困難になっておりましたが、総選挙以後の選挙戦では、定数一あるいは二の補欠選挙で、大阪、千葉、愛知などであいつぐ勝利をかさねるとか、東京都議選で二人区の約半数で勝利をえるとか、貴重な実績をかさねました。これらの成果を発展的に生かすとりくみが大事であります。


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