2007年1月13日(土)「しんぶん赤旗」

増派の背景 有志連合崩壊

38から17カ国に減少


 ブッシュ米政権がイラク占領終結の見通しを示せないまま二万人を超える増派を決め、イラク駐留十五万人体制に突入する一つの背景には、「多国籍軍」の名のもとで形成した有志連合の崩壊があります。

 当初、三十八カ国が参加していた有志連合は、軍を撤退させる国が相次ぎ、兵力を削減せずに派兵を継続する国は十七にとどまっています。

 最大時三千人を派兵していたイタリアは昨年十二月一日、最後の兵士数十人が撤退し、完全撤退しました。同国では兵士三十一人、民間人八人が犠牲になりました。昨年四月の総選挙では「イラク戦争は誤りだ」と訴えて撤退を公約に掲げた中道左派連合が勝利し、プローディ現政権が成立。当時はまだ二千六百人が駐留していましたが、新政権下で撤退ペースが早まりました。

 韓国は最大三千二百人を派兵し、米英軍に次ぐ規模でしたが、イラク情勢の泥沼化と派兵長期化のなかで撤退を求める世論が高まり、すでに二千三百人に削減。今年四月までにさらに千二百人に縮小する計画です。与党の議員総会では今年末までの完全撤退計画の提出を政府に求める方針を決定しています。

 この三月でイラク戦争開始から丸四年を迎えます。すでに太平洋戦争の三年九カ月を上回り、泥沼・長期化の一途です。イラクに大量破壊兵器が存在する証拠も、イラク前政権が9・11対米同時テロと結びついていた証拠もなく、戦争の口実がことごとく崩壊したなかで、世界各国の対応は明らかに変化しています。

 第二の派兵国英国のブラウン国防相は十一日、「数千人規模の削減」を口にし、現在七千人の駐留英軍の段階的撤退を進める意向を表明しました。派兵継続国の一つ、オーストラリアのハワード首相も同日、同国軍の増派について「現時点でその必要はない」と否定しました。

 米国は有志連合への参加国が減少するなかでも、〇五年一月のイラク国民議会選挙など“国づくり”での節々で、「治安確保のため」として駐留軍の増員を重ねてきました。しかし、住民を犠牲とする「掃討作戦」の結果、混乱はいっそう促進されました。

 いま、国際的に孤立しながら増派に向かうブッシュ政権。日本政府が昨年十二月、イラクに派遣している航空自衛隊の派兵期間の延長を決定した責任も問われています。(西村央)


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