2007年1月12日(金)「しんぶん赤旗」

事務所費疑惑

閣僚の資格はあるか

規正法の「抜け穴」悪用


 政治資金をめぐる疑惑が安倍政権全体と自民党執行部を覆う事態になりました。

 昨年末、辞任に追い込まれた佐田玄一郎前行革担当相の疑惑に続いて、年明けから松岡利勝農水相の政治資金の記載漏れと口利きの疑惑が指摘されました。本紙三日付では同相と伊吹文明文科相らが賃料の要らない衆院議員会館での「事務所費」として三千万から四千万円の「経費」を計上していたことを報道しましたが、十日には伊吹氏が弁明の会見を開きました。自民党の中川昭一政調会長も同様の「経費」計上を行っています。

 本来必要のない支出を「事務所費」として計上していたのは、それが政治資金規正法で領収書の要らない項目とされており、使い道を明らかにしないですむからで、制度の「抜け穴」を悪用したものにほかなりません。

 自民党は、企業・団体から巨額の献金を受けたうえ、国民の税金からばく大な政党助成金を二重取りしています。そのうえ制度の「抜け穴」を利用して使途を示せない巨額の支出をするなど到底許されません。

 安倍首相と伊吹文科相は先の臨時国会で強行した改悪教育基本法の審議で、子どもに「規範意識」を持たせるよう繰り返し強調しました。しかし、伊吹氏は会見で「政策集団の長となると、領収書を取れないものもある」などとあけすけに発言。問題を「問題」として認識することすらできない「規範意識」の欠如を示しています。文科相としてはもちろん、国会議員としての資質が問われます。

 安倍首相はこの間、「個別の事案の詳細は担当大臣に聞いていただきたい」(五日)などとのべ、首相外遊中の十日には塩崎恭久官房長官が「政府としてコメントしない」とするなど、真相解明の責任を回避する態度をとり続けています。

 しかし、政治とカネをめぐる疑惑は政治家としての資格にかかわる問題です。国会で解明がなされるべきことは当然ですが、政権と党執行部を覆う疑惑について安倍首相自身が率先して真相解明し、自らの任命責任を明確にすることは当然です。佐田氏の辞任の際には、自らの「任命責任」に言及していただけに、今回の対応がいっそう問われます。

民主にも飛び火

 同様の疑惑は民主党にも飛び火しています。松本剛明政調会長も議員会館を資金管理団体の「主たる事務所」にしながら千八百八十六万円もの「事務所費」を計上していました。政治家、政党として責任を取るべき事は自民党と同様です。

 野党として政権を追及していくには、自ら厳しく律して、足場をしっかりしない限り、結局与党を利することになるのは、昨年の同党の永田寿康議員の偽メール事件からも明らかです。(中祖寅一)


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp