2007年1月4日(木)「しんぶん赤旗」

ODAで談合常態化か

平均落札率99%の年度も


 知事が相次いで逮捕されるなど、国内で官製談合が大きな問題になっていますが、日本政府が開発途上国に対して行う政府開発援助(ODA)をめぐっても、不自然な入札が常態化していることが本紙の調べでわかりました。平均落札率(予定価格に占める落札額の割合の平均)が99%を超える年度もあるほか、随意契約や一社のみの入札も多数行われているなど、談合が日常化している疑いが浮かび上がりました。

 本紙が調べたのは、入札参加資格が日本企業にしぼられるODAの「無償資金協力」。入札や契約の状況について、外務省が予定価格を公表している二〇〇三―〇五年度の三年分を対象にしました。

 このうち校舎や道路、橋りょうなどの“ハコもの”建設が中心の「一般プロジェクト無償」では、三年間に行われた二百十件の入札のうち、八割を超える百七十四件で、落札率が予定価格すれすれの99%以上で落札されていました。

 年度別では〇四年度が平均落札率99・5%と最も高く、〇三年度が98・8%、〇五年度が97・6%と続き、三年分の平均でも98・6%になります。〇四年度は、九割以上の入札で落札率が99%を超えていました。

 ODAで三十年間近く海外建設工事を担当してきたゼネコン(総合建設会社)元幹部は、本紙に「ODAの受注は、ほとんどが業者が相談して決めている」と証言しました。落札率が高止まりとなっているODAの実態は、談合の存在を裏付けるものです。

 さらに、予定価格を応札額が上回り、入札が不調となった結果、随意契約を結ぶケースが約四割にも及びました。入札に一社しか参加していないケースも、〇五年度だけで七十一件中十六件もあり、入札が形がい化している実態を示しました。

 元ゼネコン幹部は、「談合を疑われないために一回目の入札を不調にし、二回目、三回目で落とすようにした。随意契約に持ち込めば、ほぼ予定価格に近い額で受注できた」と話しています。

 談合による高い落札率は、税金の無駄遣いにつながり、国民も被害者といえます。国の責任が問われます。

 「無償資金協力」の実施機関である外務省国際協力局は、「談合があるとは思っていない。入札参加企業が少ないのは、海外でプロジェクトを行う一定の体力をもった企業しか参加してこないためだろう。一社入札は望ましいとは思わないが、入札自体は公正に行われている」としています。


 ODA(政府開発援助) 日本や欧米諸国などの政府が開発途上国にたいして行う援助や出資。援助相手国に返済の義務がない「無償資金協力」と、「有償資金協力(円借款)」があります。「無償資金協力」のうち「一般プロジェクト無償」は主に、病院、橋りょう、農業かんがいなどの建設工事です。〇五年度予算は約七百五十四億円で、「無償資金協力」予算千七百六十五億円のなかでも最も大きなウエートを占めています。「無償資金協力」は外務省所管の独立行政法人「国際協力機構」(JICA=ジャイカ)が業務を実施します。


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