2006年12月29日(金)「しんぶん赤旗」

主張

サッカーくじ

廃止こそスポーツ振興への道


 「スポーツ振興」をうたい文句に六年前に実施されたサッカーくじが、破綻(はたん)寸前に追い込まれています。売り上げが低迷し、続ければ続けるほど赤字が増えるというドロ沼状態です。ついに禁じ手ともいうべき税金投入に踏み出しました。こんなことをしてまで継続する意味があるのでしょうか。

ついに税金投入まで

 サッカーくじは、「売り上げた収益をスポーツ振興に充てる」という名目で、文部科学省の指導・監督のもと、独立行政法人「日本スポーツ振興センター」によって運営されてきました。しかし、「スポーツをギャンブルで汚す」という批判はぬぐいがたく、それが売り上げの低迷にも反映しているのは疑いのないところです。

 最近になって、振興センターが赤字のため、業務委託していた「りそな銀行」への借金返済の一部にスポーツ振興基金が充てられていることが明らかになりました。基金はほとんど国が出資し、スポーツ団体や選手・指導者らに継続的に援助するためのもので、これを借金返済に充てることは、事実上の税金投入です。このようなむちゃなやり方を許すことはもうできません。

 もともとスポーツとギャンブルは相いれません。「自らの運命を偶然の結果にゆだねる」のがギャンブルの特徴であるのに対し、スポーツの本質は「自らの意志によって目標に挑戦する」ことです。両者が水と油の関係にあるのは明らかです。

 しかも、くじの対象が、青少年に強い影響をもつサッカーであることも不安感を増大させるものでした。サッカーくじが法案として国会審議された当初から、スポーツ関係をはじめ広範な団体、個人から反対の声がわき起こりました。

 これに対し推進派は「ギャンブル性は薄い」「勝ち負けなどを予想する知的ゲームで、ギャンブルではない」と強弁し、導入を強行しました。しかし、その後の事態の推移は、どちらの主張が正しかったかを証明するものとなりました。

 サッカーくじの全国販売が始まったのが二〇〇一年。その年は約六百四十億円あった売り上げがその後年々減り続け、〇五年は約百五十億円。約六十億円あったスポーツへの助成金は一億円余にまで落ち込みました。いまや、このくじに、自らの将来を託しているスポーツ団体は皆無といっていいでしょう。

 この間、文部科学省と振興センターは、コンビニエンスストアやインターネットでの販売、当せん確率の高い新くじの導入など、売り上げ増のためなりふり構わないギャンブル路線を走ってきました。

 不振打開の切り札としてことし九月に登場した「BIG(ビッグ)」には、開いた口がふさがりません。当せん金が最高三億円(従来のくじは一億円)、繰り越し時では六億円(同二億円)で、十四試合の結果をコンピューターが予想するというものです。露骨に射幸心をあおり、知的ゲームの装いも捨て、ギャンブル性をむき出しにしました。

反対貫いた党として

 サッカーくじ推進の旗振り役となった文部科学省はもちろん、積極的に賛成した自民党や、党として責任ある態度を示してこなかった他の政党の責任が厳しく問われます。

 国会審議の段階から現在に至るまで反対を貫いてきた党として、日本共産党はスポーツ振興に逆行するサッカーくじの即時廃止を強く求めるものです。


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