2006年12月25日(月)「しんぶん赤旗」

底流 ほん流

団交権のはく奪を狙う


 財界代表を中心に構成する政府の規制改革・民間開放推進会議は、二十五日に出す「最終答申」に、労働組合の団体交渉権について「組織率が一定割合以上の組合に限定する」ことを盛り込もうとしています。憲法に保障された労働者の基本権を奪おうとするもので労働者・労働組合全体にかかわる大問題です。

憲法28条で保障

 団体交渉権は、団結権、団体行動権とともに憲法二八条によって労働者に保障された基本的権利です。弱い立場に置かれている労働者が団結して交渉、行動することで使用者と対等の関係を築き、賃金や労働条件の決定にかかわることができるようにしたものです。このために労働組合法が制定されています。

 使用者は、その権利の保障を義務づけられています。組合員が少数であっても、企業内に複数の労働組合がある場合でも、その大小にかかわらず使用者は、対等に団体交渉に応じなければなりません。

 最高裁判決も「各組合は、その組織人員の多少にかかわらず、それぞれまったく独自に使用者との間に労働条件等について団体交渉を行い、その自由な意思決定に基づき労働協約を締結し、あるいはその締結を拒否する権利を有する」と明言しています。(日産自動車事件、一九八五年四月)

 組合員が少数だからといって、団体交渉権を奪うことは許されないのです。団体交渉権のはく奪は、団結権や団体行動権の侵害にもおよびます。団結権を事実上、禁止した戦前への後戻りです。

 日本の大企業は、雇用形態を正規から派遣、パートという非正規に置き換えてきました。この結果、労働組合への参加率は次第に減り、二割を切りました。

 しかし、職場で横行するサービス残業(ただ働き)、偽装請負など違法行為の是正を求める労働者のたたかいは新たな展開をみせています。

 派遣やパートで働く労働者がJMIU(全日本金属情報機器労働組合)や首都圏青年ユニオンをはじめとした労働組合に参加し、団体交渉権を使って使用者側と交渉、労働局などにも申し立て、直接雇用や正規雇用への道を切り開いています。残業代の支払い、解雇の撤回もさせています。

見直される労組

 労働組合の役割が見直され、組合に参加してたたかおうとの機運をうみだしています。労働運動総合研究所の調査では、未組織労働者の20%が労働組合の参加を考え、38%が労働組合への関心を示していました。

 財界は、こうした労働運動の新たな高まりを恐れ、労働者のもつ団体交渉権、ひいては団結権や団体行動権をはく奪しようとしているのです。少数組合だけに向けられた攻撃ではないことです。

 「労働ビッグバン」と称し、雇用のルール破壊を主張している八代尚宏国際基督教大学教授(経済財政諮問会議委員)は「労働者全体の二割に満たない労働組合が『労働者の代表』として、労働政策審議会等の場で雇用規制の維持・強化を主張している」と非難し、労使の代表が参加する労働政策審議会で審議することをやめるよう求めています。(『週刊東洋経済』十月十四日号)

 労働者の代表を審議会から追い出すことまでいいだしています。審議会の労働者代表は、加盟組合の代表ではなく、労働者全体の利益を主張する役目を負っています。組合員数を理由に排除することなど許されません。

 数でいうなら、日本経団連に加盟する企業は千数百社足らずで、従業員数で見ても圧倒的少数派でしかありません。

 労働者代表もいない規制改革会議や経済財政諮問会議が、憲法に保障された権利のはく奪を議論することこそ問われるべきです。


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