2006年12月24日(日)「しんぶん赤旗」

「近未来通信」詐欺 放置の総務省

専任監督者ゼロ

規制緩和で点検なし


 IP電話会社「近未来通信」の投資詐欺事件が社会問題になっていますが、同社など一万三千社以上にのぼる電気通信事業者を監督する立場の総務省に専任の監督担当者がおらず、不正行為などの日常的な監視も行っていないことが二十三日までに本紙の調べで分かりました。通信事業「規制緩和」の導入に際して、業者の事前チェックのかわりに強化したはずの「事後チェック」体制が、届け出を受け付けるだけというきわめて不十分なものであることが浮き彫りになりました。(近未来通信取材班)

 通信事業を所管する総務省で、電気通信の届け出事業者の監督を担うのは、総務省データ通信課です。データ通信課長によると同課の人員は「十数人」。業者の監督だけに専任する職員はいません。業者の監督のほか、業者からの法的な質問に答えています。

 しかも監督業務も「問題があったら対応する」(同課長)というものの、「問題」を把握するための日常業務は「特に行っていない」といいます。

 さらに同課は、「トラブルの直接の対応は地方局(総合通信局)の仕事」としています。しかし、総合通信局側は「検査などは本庁主導。業者の状況を細かく見るのは無理な話。数が多いので検査はされていなかった」(関東総合通信局電気通信事業課の担当者)と説明。本庁でも全国に十一ある地方局でも、日常の監督業務は機能していませんでした。

 電気通信の届け出事業者は、二〇〇五年末で一万三千三百七社。規制緩和の本格実施となる電電公社(現NTT)の民営化時(一九八五年度)は、現在の届け出業者にあたる「二種事業者」は二百九社。約二十年で業者の数は六十倍以上に激増しています。

 九七年設立の近未来通信は、電気通信事業者としての実態がほぼ無いにもかかわらず、一般の投資家から多額の出資金を集めていました。同社の長期間にわたる不正な資金集めを放置してきた監督官庁と政府の責任を追及する声が被害者からも上がっています。


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