2006年12月23日(土)「しんぶん赤旗」

民主の政権政策方針

教育の国家統制■集団的自衛権の行使■規制撤廃


 民主党が十八日の両院議員総会で決定した「政権政策の基本方針」(政策マグナカルタ)は、一九九八年に新民主党が結党した際に策定した「基本政策」以来のものです。小沢一郎代表が九月、再選の際に出した基本政策(小沢ビジョン)を基調に、環境と経済・中小企業政策を加え八項目からなっています。(古荘智子)


教育

 教育政策では、政府の改悪教育基本法の対案となる「日本国教育基本法」の制定を冒頭に掲げました。法案は政府の改悪法の成立で廃案となりましたが、「日本を愛する心」の涵養(かんよう)を明記し、教育基本法の命ともいえる第一〇条「教育は、不当な支配に服することなく」の記述を削除するなど、改悪法以上に国家統制を強めるものになっています。

 国が義務教育の最終責任を負うことや現行の教育委員会制度の廃止を明記。素案になかった高校教育の無償化を追加しましたが、財源の裏付けは明確にしていません。

社会保障

 社会保障政策では、国政選挙のマニフェストで掲げていた年金一元化を継承しました。消費税を3%引き上げ8%にして年金の財源に充てる案は取り下げ、「税率5%を維持し、税収全額を年金財源(基礎部分)に充当する」としました。

 小沢代表は消費税率据え置きの真意について「政治的な判断になる。来年は選挙ですし」(十二日の記者会見)と選挙を意識した政策変更であることを認めています。また、「社会保障関係費が増える可能性がある。最終的に消費税の負担をしてもらうことになるかもしれない」(同)と将来の消費税増税を見越した発言もしています。

外交・安保

 外交・安保政策では、集団的自衛権の行使について「個別的・集団的といった概念上の議論の経緯に拘泥せず」「急迫不正の侵害を受けた場合に限って」自衛権を行使すると記述しました。

 武力行使を伴う場合も含む国連の軍事活動にも「国連の要請に基づいて…積極的に参加する」と小沢ビジョンを踏襲。海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使を容認する内容となっています。

経済

 経済政策では、事業規制を「全てゼロベースで見直し」、民間事業活動の規制撤廃を提唱。「民間で行うべき事業から政府が撤退し、民間の領域を拡大することで、経済活動を一層活発にする」として、“民間にできることは民間に”との小泉「改革」顔負けの規制緩和を主張しています。

 さらに、税制面で「資産性所得に対する課税水準の適正化」や「株式の長期保有に対する一定の配慮」を行うとしています。「適正化」の内容は明らかにしていませんが、昨年総選挙のマニフェストでは株式配当課税の廃止・軽減や投資の税額控除を明記していました。

 その目的は「『貯蓄から投資へ』の流れを促進」するためであり、株で大もうけした高額所得者を優遇する政府路線と軌を一にするものです。


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