2006年12月20日(水)「しんぶん赤旗」

米国でO157食中毒

野菜一括洗浄原因か

立ち入り検査も数年に1度


 全米に展開するファストフードレストランの米東部四州の店舗で今月、病原性大腸菌O(オー)157による食中毒が発生し、約七十人が発症しました。その後、これとは別のO157による食中毒が中西部で発生。九月にはO157汚染の袋詰めホウレンソウが出荷されて死者が出るという事件もあり、米国の食品の安全問題がクローズアップされています。システム上の問題とともに、安全管理に責任を負う政府機関の対応の不備が指摘されています。(ワシントン=山崎伸治)


 食中毒が発生したファストフードレストランは、全米に五千八百店舗を持つメキシコ料理の「タコベル」。四日、東部ニュージャージー州の店舗で食事をした少なくとも二十二人がO157に感染したことが判明。同社は、ほかにも感染が明らかになったニューヨーク、ペンシルベニア、デラウェアの計四州で自主的に休業の措置をとりました。

 政府機関の疾病対策センター(CDC)、食品医薬品局(FDA)などが感染源の特定を進める一方、同社はニューヨーク・タイムズなど十一日付の米主要紙に「タコベルの食品は安全です」という全面広告を掲載し、順次営業を再開。しかし感染源はまだ特定できておらず、当初はネギと言われていましたが、FDAは十三日、レタスとの見方を示しています。

工場で汚染拡大

 米国では一九九〇年代に「ハンバーガー病」として知られるようになったように、O157による食中毒のおもな感染源は汚染された牛肉でした。チーズやリンゴジュースなどもありましたが、今回もネギやレタスが疑われるように、野菜への汚染の広がりがみられます。そこには野菜を工場で大量一括処理するという問題があります。

 二十三州で三人の死者を含む百五十七人のO157感染者を出した九月の事件では、感染源のホウレンソウは工場で袋詰めにされたものでした。食品安全問題を追及する民間組織「フード・アンド・ウオーター・ウオッチ」によると、問題の工場は「毎週二千六百万食のサラダのために野菜を洗浄している」といいます。

 この事件では、複数の農場から集められたホウレンソウのなかにO157に汚染されたものがあり、処理の過程で広がったと考えられています。タコベルも地元の東海岸ではなく、カリフォルニア州の工場から野菜を入荷していました。野菜が「工業化され、集約され、汚染される」(同)というシステムに問題があるといえます。

足りない検査官

 同時に、食品の安全に責任を負うFDAの検査体制の不備を指摘する声もあります。

 九月二十二日付ワシントン・ポスト紙によると、FDAは二〇〇六年、約八百人の検査官が食肉以外で二万件の安全検査を実施。このペースでは、工場の立ち入り検査は「平均数年に一回の割合」しか行われません。

 ところが今月十二日付ニューヨーク・タイムズ紙によると、FDAの食品安全部門の予算は〇三年の四千八百万ドル(約五十六億六千万円)から来年は二千五百万ドル(二十九億五千万円)にまで削減されます。検査官の数も同じ期間に二千二百人から千九百六十二人に減らされる見通しです。

 同紙は「富裕層の減税とイラク戦争のために、国内の歳出が抑え込まれる」と指摘。「テロリストが食品に毒物でも混入しない限り、FDAは予算も検査官も増えない」と皮肉っています。


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