2006年12月18日(月)「しんぶん赤旗」

ゆうPress

命の喜び 感じます

助産師5年目

吉岡 咲子さん


 「命が生まれる瞬間に立ち会える」喜びを感じながら日々奔走している助産師。群馬県前橋市にある前橋協立病院の助産師、吉岡咲子さん(26)もその一人です。思い通りにいかず落ち込むこともありますが、母子の命を預かっていることにやりがいを持って頑張っています。(伊藤悠希)


 前橋協立病院は田んぼに囲まれたのどかな雰囲気の場所に立地しています。助産師五年目の吉岡さんは、ナースステーションと病棟を行き来し、手術の準備や薬を運ぶなどきびきびと動いていました。医師と一緒の回診では、母親に赤ちゃんの状態を聞いたり、赤ちゃんの体重について話しあったり―。

 帝王切開で二人目の子どもを産んだ富田友子さん(32)は第一子も同病院で出産しました。小児科も病児室もあり安心だと言います。富田さんは「吉岡さんは明るくて、優しく、丁寧です。声をかけてくれる回数も多い。産婦人科全体があったかい雰囲気です」と話しました。

海外支援に心打たれて

 助産師の仕事は(1)母子の産後の状態や入院中の患者をみる(2)新生児をお風呂に入れたり、健康状態を診る(3)その日のお産につく(4)妊娠検診をしたり、問診をする助産師外来―などで、日によって変わります。勤務は三交代。夜勤(午後四時半―午前一時)のときは、手術とお産が重なる日もあります。

 吉岡さんは、もともと看護師志望でした。看護系の短大に入学後、進学を考えます。実習で産婦人科が「おもしろい」と思っていました。命が生まれる場所という喜びを感じられ、あたたかい雰囲気を感じていたからです。

 短大卒業と同時に助産を専攻。長野県の信州大学医療短大専攻科に編入しました。

 吉岡さんが助産師を目指したもう一つの理由は海外での支援活動です。アフリカで助産師として活躍している人を描いたドラマで、専門的知識を身に付けてアフリカに戻ってくる姿に心打たれました。助産師の資格を持っていればより専門性が増すと考えました。

 助産師はお産には基本的に一人であたります。生まれそうになってはじめて医師を呼びます。助産師ができる範囲内と定められてはいますが、自分の判断で動けることが魅力です。

 お産になるまでは人それぞれなので、いろいろな可能性を考えなければいけません。出血が多かったり、赤ちゃんの心音が下がるなどの異常があることも。吉岡さんは「命がかかっているので無事生まれるとほっとします」と話します。

母親たちの感謝が励み

 うまくいかないこともあります。助産師になって二年目、夜勤のときでした。不妊治療をしていた人で、やっと授かった赤ちゃん。予定日に産みたいという強い要望でした。

 でも吉岡さんは、元気に生まれてほしいとの思いから慎重にと時間をかけすぎ、お産は予定日を過ぎてしまいました。本人からは「ほかの人に相談してやってくれればうまくいったのに」と言われました。一生懸命やっていたことが、うまく伝わりませんでした。

 夜勤のとき、お産中の人に「そばにいてください」と言われ、そばについたことがあります。その人が退院するとき「心強かった」と感謝されました。

 「人が少なくてほかの患者さんのことも気になったけど、そばについていてよかった。お産まで、ずっとそばにいるのが理想的。いつもそうできればいいんですけど」

 退院した母親からの手紙、赤ちゃんにまた会えることが励みになります。吉岡さんはいままでに百人以上の赤ちゃんを取り上げてきました。「かかわったお母さんが自分のことを覚えていてくれるんですよね」とほほ笑みます。

 吉岡さんは今年新たなステップを踏みました。同病院では二〇〇五年から看護学校の実習を受け入れはじめ、吉岡さんは十月から指導に入りました。実習生は六人。三週間一人で担当しました。「学生が自ら気付ける指導をしたい。こちらから投げかけて学生が考え、それが身に付くように。話しやすい指導者になることが目標です」


減り続ける産科・医師

 全国的に産科医と産科が減少しています。国の医師養成抑制政策による医師不足のうえに、重労働による退職者の増加などが背景にあります。

 前橋協立病院では常勤の産科医が一人のみ。勤務時間は昼夜を問いません。自宅から呼び出されることもあります。疲れて産科医を辞めていく医師も後を絶ちません。産科医の減少も地域の崩壊につながりかねません。

 吉岡さんは「医師が続けられるように助産師ができる限り医師の仕事をサポートしていきたい。地域に根ざした病院を目指して、お母さんたちに選んでもらえる産科にしたい」と前向きに語ります。

 助産師は助産院を開設でき、地域に出て力を発揮できるなど活躍の仕方が多様なのも魅力の一つです。働き方はハードで、母子二人の命を同時にみるという責任は重大です。吉岡さんは「この仕事でよかったと思うのは命が生まれる瞬間に立ち会え、取り上げるというやりがいがあるから」と笑顔で話しました。

グラフ

厚労省の調査と学会調査に違い

 厚生労働省の調査では産科や産婦人科を掲げる医療施設は全国で五千九百九十七カ所(二〇〇五年)。主に産科か産婦人科で診療する医師は一万五百九十四人(〇四年)でした。

 しかし、日本産科婦人科学会が行った全国調査(〇五年)では、出産を取り扱っている医療施設は三千五十六カ所で、妊婦検診のみ行う施設が千六百七十七カ所。厚労省調査の約半分しかありません。出産に携わる常勤医師数は七千八百七十三人で、厚労省調査の約三割、下回っています。

 助産師の資格を取ることができる四年制大学は六十一校から九十二校に増加し、短大は三十二校から十八校に減少(いずれも〇二年から〇六年)。短大から大学に統廃合され、大学での定員数は減少しているなど、助産師になる門戸は狭くなっています。


お悩みHunter

好きな女性がいるが気持ち伝えられない

  女子大の文化祭に友達と行ってきました。サークル交流で知り合ったことがきっかけです。その女子大のサークルに好きな女性がいます。その人のことが、ずっと忘れられません。その女性のことを思うと胸がときめいてきて、どうしようもありません。文化祭で会えたのに、うまく話ができませんでした。この気持ちを伝えたい思いでいっぱいです。勉強も手につきません。(大学二年、東京都)

話をする機会をつくって

  あなたは今、勉強していても何をしていても、彼女のことで頭がいっぱいで手につかない状態なのですね。しかも、文化祭で彼女に会えたのに胸がときめき、うまく話ができなかったのですね。あなたは、とてもすてきな経験をしています。

 あなたの悩みを聞いて、私まで胸がドキドキしてうれしくなってきました。そんなにまで胸ときめく女性にめぐりあえて、あなたはとっても幸せですね。

 さて、あとはおっしゃる通り、機会をつくってあなたの伝えたい思いを率直に彼女にお話しすることが、一番良いのではないでしょうか。

 少し勇気が必要ですが、「好き」と率直に言われて、嫌な気持ちになる人はあまりいないと思います。すべてはあなたの気持ちを彼女に伝えることから始まります。

 これからの季節、クリスマスや忘年会、お正月、新年会とイベントが盛りだくさんですね。イベントに彼女をお誘いし、あなたの気持ちを伝えてみる方法もありますね。うまく話せなくても、会っているうちに徐々に話せるようになります。

 あなたが緊張していたら、彼女も緊張してしまいますから、できるだけリラックスして、楽しんでください。頑張ってくださいね。幸運を祈ります。


舞台女優 有馬 理恵さん

 「肝っ玉お母とその子供達」など多くの作品に出演。水上勉作「釈迦内柩唄」はライフワーク。日本平和委員会理事。


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