2006年12月15日(金)「しんぶん赤旗」

「防衛省」法案 緒方議員の反対討論(大要)


 十四日の参院外交防衛委員会で、日本共産党の緒方靖夫議員が「防衛省」法案について行った反対討論(大要)は次の通りです。


 私は、日本共産党を代表し、防衛庁設置法・自衛隊法「改正」案に対する反対討論を行います。

 本法案は、防衛庁・自衛隊発足以来はじめて海外活動を自衛隊の「任務」とし、防衛庁を「省」に昇格させる、憲法九条にかかわる重大な法案です。ところが本委員会の審議時間は、参考人質疑を含めてもわずか十二時間にすぎません。しかもこの間のNHK世論調査でも、本法案に賛成25%、反対31%、わからない35%です。多くの国民が反対あるいはわからないと疑問を呈しているにもかかわらず、委員会としての徹底した審議をつくさないまま採決することは断じて許されません。

 海外活動の「本来任務化」は、憲法九条を真っ向からふみにじるものです。歴代政府は「自衛隊は、自衛のための必要最小限の実力組織」だから憲法に違反しないという憲法解釈のもと、自衛隊法三条でその任務を「日本防衛」に限定し、専守防衛を建前としてきたのであります。海外活動を自衛隊の任務に位置づけることは、こうした建前をも根底から覆すものであり、憲法上正当化できるものではありません。

 新たに任務とされる「国際平和協力活動等」なるものの内容として「周辺事態法」「テロ特措法」「イラク特措法」などが列挙されていますが、いずれも米軍に対する後方支援活動そのものです。久間防衛庁長官はアメリカのイラク戦争を「早まった」ものといい、テロ特措法は「アメリカが仕掛けた自衛のための戦争を後方支援といって応援する」もので「法律的に危なっかしい」と答弁しました。これはきわめて重大です。防衛庁長官自身が「危なっかしい」と認める活動を自衛隊の本来任務とするなど、無責任きわまるものといわざるをえません。しかも、新たに法律さえつくればその任務の拡大に歯止めはありません。海外での「米軍戦争支援」を自衛隊の存立目的である任務に位置づける危険な法案は断じて許せません。

 この法案の一方で、政府・自民党は「憲法改正」を公然と掲げ、自民党憲法草案の中には憲法に「自衛軍」を書き込み、その任務として国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動を位置付けています。「憲法改正」を先取り的にやろうとするものであると判断せざるをえません。

 さらに、「防衛省」への昇格は、自らの腐敗隠蔽(いんぺい)体質には全くメスを入れず、防衛施設庁談合事件を逆手にとって、日米軍事一体化を迅速かつ強力におしすすめる軍事行政組織をつくろうとするものであり、認められません。


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