2006年12月1日(金)「しんぶん赤旗」

財界優遇路線を推進

経財会議 予算編成の基本方針


 政府の経済財政諮問会議(議長・安倍首相)は三十日、「成長力の強化」を口実に、いっそうの大企業優遇の方向を示した二〇〇七年度予算編成のための基本方針をとりまとめました。

 同方針は「成長なくして日本の未来なし」との理念のもと、「『改革』に大胆に取り組む」と強調。公的分野への「民間活動の領域の拡大」や「市場化テストの積極的な実施」、「規制改革」などに取り組むとしました。具体的には、三大都市圏環状道路など大型公共事業の推進をあげています。また、「道州制の実現のための検討を加速する」と明記しました。

 さらに、税制「改革」の喫緊の課題として、「我が国経済の国際競争力を強化し、その活性化に資する」ことを冒頭にあげました。

 政府・与党は来年度税制「改正」の課題として、いっそうの企業減税になる減価償却制度の拡充や法人実効税率の引き下げの検討などをあげており、予算編成の基本方針としてこれを追認する方向を示唆したものです。

 一方、同方針は、「歳出全般にわたる徹底した見直しを行」うと明記。社会保障については、雇用保険の失業等給付に対する国庫負担の廃止を含めた「雇用保険三事業の抜本的見直し」や生活保護の母子加算「見直し」、医療・介護サービスの供給コストの低減などを盛り込みました。


解説

大企業にとっての「未来」

 「活力とチャンスと優しさ」に満ちあふれた「美しい国」をつくる(所信表明)―と語った安倍首相。初の予算編成に向けた基本方針で浮き彫りになったのは結局、この宣言が大企業向けのものだったということです。

 政府・与党は、「活力」を口実に、大企業のためのいっそうの減税をたくらんでいます。「国際競争力」を口実に公共事業で「重点化」されるのは、三大都市圏環状道路やスーパー中枢港湾などの大型公共事業です。

 一方、基本方針は、雇用保険の国庫負担廃止、生活保護の母子加算の「見直し」、医療・介護サービスのコスト低減などを盛り込みました。国民のための社会保障はより切り詰める姿勢です。

 小泉内閣の下での「構造改革」路線が、国民の貧困と社会的格差拡大に拍車をかけました。だからこそ、安倍首相は所信表明演説でも、「目指すものは、勝ち組と負け組が固定化しない社会」「格差を感じる人がいれば、その人に光を当てる」と語らざるを得ませんでした。

 しかし、安倍首相が具体化しようとしているのは、貧困と格差の拡大に拍車をかけることばかりです。

 「成長なくして日本の未来なし」(基本方針)の「未来」は、大企業と大金持ちにとっての「未来」でしかありません。


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