2006年11月30日(木)「しんぶん赤旗」

イラク・アフガン 米戦費18兆円追加か

「対テロ」戦費はベトナム上回る


 【ワシントン=山崎伸治】ブッシュ米政権は二〇〇八会計年度(〇七年十月―〇八年九月)予算教書を策定する一方で、イラク・アフガニスタン戦費を〇七会計年度予算の追加予算として提案する構えです。その額は千二百七十億―千六百億ドル(十四兆七千億―十八兆六千億円)といわれ、承認されれば「対テロ戦争の費用はベトナム戦争を上回る」(十六日付USAトゥデー紙)ことになります。


 ただ仮にブッシュ政権がこれだけの追加を提案しても、野党・民主党が多数派となった一月からの新議会でそのまま承認されるかどうかは今のところ不透明です。

 ブッシュ政権はこれまでも、イラク戦争・占領の長期化に伴い、通常予算では不足する戦費を追加予算の形でまかなってきました。十月から執行されている〇七会計年度予算にも、すでに七百億ドルが追加されています。

 二〇〇一年以来、議会は政府の提案を受けて「対テロ戦争」の費用として総額五千二十億ドルを承認してきました。ベトナム戦争の戦費は今のドルに換算すれば五千三百六十億ドル。イラク戦争をはじめとする「対テロ戦争」の戦費がこれを上回ることは必至です。

 しかも五百億―七百億ドルだったこれまでの追加規模と比べても、現在検討されている金額は、けた違いです。

 ホワイトハウスの担当者はUSAトゥデーに対し、「この数字は政権の決定を反映したものではない」と強調。しかし複数の議会筋がほぼ同じ見通しを示しています。

 通常の審議手続きを踏まない追加予算という形で戦費をまかなうことには、与党・共和党にも反対の声があります。今年六月、同党のマケイン上院議員の提案に基づき、「現在進行中の軍事作戦には通常の予算措置を求める」という修正案が国防総省予算に盛り込まれました。

 下院軍事委員会・空陸小委員長への就任が予定される民主党のアバクロンビー議員は追加予算を「会計上のごまかし」と指摘し、納税者に対する「説明責任がない」と批判しています(二十日付米軍事専門紙ディフェンス・ニューズ)。

 その一方で民主党内には「軍隊に資金を提供していないと見られることは許されない」(二十一日付院内紙ヒル)という不安もあります。同党のオーティズ下院議員は同紙に「ほかにどうしようもない。追加予算を承認するだろうが、しっかり審議してからだ」ともらしています。


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