2006年11月30日(木)「しんぶん赤旗」
学生無年金障害者訴訟
二審も受給資格認める
東京高裁 初診日の解釈拡大
学生の国民年金加入が任意だった時期(一九九一年三月まで)に、加入しないまま統合失調症になり、障害基礎年金の支払いを拒否された東京都内の男性(46)が不支給処分取り消しを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁民事二十二部(石川善則裁判官)は二十九日、社会保険庁側の控訴を棄却、一審の東京地裁の勝訴判決を支持しました。高裁段階で受給資格を認めた判決は初めて。
障害基礎年金は病気やけがの初診日が二十歳未満なら未加入でも支給されます。男性は初診日が二十歳を過ぎていたため、支給を拒否されました。一審判決は発症が未成年の場合、拡大解釈できると判断、今回の判決もそれを支持しました。
判決は「医師の事後診断等により、統合失調症の症状が発現して医師の診療を受けることを必要とする状態となった時点が二十歳前であると認められるばあいには、国民年金法30条の4に規定する『その初診日において二十歳未満であった者』との要件を満たすと解するのが相当である」として、障害基礎年金の支給要件を満たしていると認定しています。
一方、東京高裁の民事二十一部は、同様のケースで一審判決を覆す逆転判決を出しています。
判決後の勝利報告集会で、池原毅和弁護士は判断が正反対になったことについて、「民事二十一部の判決は、全部社会保険庁長官側の立場に立った主張で、内容的にも法律論的にも説得力がない。これに対し二十二部の判決は合理性があり、内容もよくできた判決」と説明しました。
合理的な判決
学生無年金障害者訴訟東京弁護団と東京・無年金障害者をなくす会は二十九日、東京高裁民事二十二部の判決について声明を発表しました。
声明は、判決について「統合失調症は発病時期と初診日が大幅に乖離(かいり)するため、形式的に初診日を適用すると」「国民年金法の目的に照らして不合理かつ不公正な事態が生じることを認めたもの」とのべています。そのうえで、「初診日要件を拡張解釈することは、必要かつ合理的」としています。
さらに「本来、法はその目的に照らして救済すべき実態に即した適用をすべきことを本判決は示しており、高く評価されるべきものである」としています。

