2006年11月25日(土)「しんぶん赤旗」
米ヒューストン清掃労働者が勝利
待遇改善求めスト1カ月
5300人に健康保険も給付
【ワシントン=山崎伸治】全米第四の大都市、テキサス州ヒューストンで、賃上げと健康保険の保障などを求めて約一カ月に及ぶストライキを敢行した五千三百人のビル清掃労働者が二十日夜、ほぼ要求どおりの新たな協約を結ぶことで清掃会社と合意しました。
時給は3分の1
ヒューストン地域に七千人いるといわれるビル清掃労働者の四分の三を組織しているのは、ナショナル・センター「勝利のための変革」(CTW)の中核労組、サービス業国際労組(SEIU)。労働者のほとんどはヒスパニックの女性です。
同地域の清掃労働者の賃金はこれまで平均時給五ドル三十セントで、他地域の三分の一といわれます。会社は労働者をパートタイム扱いにし、一日四時間以下しか就労させないため、週あたりの所得は平均百六ドルと、同地域の四人家族の週平均支出五百ドルにはるか及ばない額に抑えられてきました。しかも会社は健康保険その他の給付を保障していません。
SEIUは一年前にヒューストンの清掃労働者を組織し、支部を創設。賃上げや給付の保障は当初からの要求で、今回のストライキは最初の大きな闘争でした。
労組の交渉委員の一人、エリシラ・サンドバルさん(42)は八年前にエルサルバドルから移住、夫と二人の娘がいます。
治療受けられず
「時給六ドルで八時間ということだったのに、給与明細には六時間で時給五ドル二十五セントしかありません。抗議すると『金がない』と言われました」と劣悪な労働実態を労組のウエブサイトで紹介。六カ月前、乳がん・肺がんと診断されたのに、健康保険に加入していないため治療が受けられないと訴えています。
労組は十月二十三日、ストライキに突入。全米各地からの支援も得て、大手清掃会社五社を相手に交渉を続けました。十一月十六日には、市内で抗議行動中の活動家四十六人が、交通を妨害したとして逮捕される事件もありました。
スト闘争と交渉の結果、(1)賃金を二〇〇九年一月までに段階的に平均七ドル七十五セントまで引き上げる(2)二年以内に労働時間を一日四時間から六時間に延長する(3)〇九年一月から健康保険を保障する(4)年六日の有給休暇を認める―ことで合意しました。
二十一日付のワシントン・ポストは、「米南部での労働者の組織化が新たな段階を迎えたことを示している」と論評。これまで労働組合運動があまり進んでいないといわれてきた地域での勝利に注目しています。
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