2006年11月24日(金)「しんぶん赤旗」

子らよ輝け 教育基本法改悪阻止へ

北の大地 熱く共同

北海道

教育の現場に心寄せ

あす組織超え10000人集会


地図

 安倍内閣と自民、公明両党が教育基本法改悪案を強行採決し、与党単独で衆院を通過させたことに「なして(どうして)急いで採決しなきゃならんのさ」と市民が署名していきます。

 北海道南部の臨海工業都市、苫小牧市の大手スーパー前。北教組(日教組加盟)の組合員二十二人が「教育基本法を守り生かそう」と書いた看板を取り付けた苫小牧地区労連(北海道労連加盟)の宣伝カーを横付けし、「教基法を守るための署名です。協力をお願いします」とよびかけます。法案が衆院を通過した三日後の十九日、日曜日午前のことです。

写真

(写真)北教組や退職教員の会のメンバーが交代で運行する苫小牧地区労連の宣伝カー=北海道苫小牧市

 通行人が次々と足を止め「頑張って」と声をかけ、一時間半で百五十人が署名していきました。「署名に応じる市民がぐっと増えました。政府・与党の乱暴なやり方に批判の高まりを感じます」と中学校で技術家庭を教える教師(52)。北教組苫小牧支会書記長を務めています。

 苫小牧市では、地区労連や北教組支会、退職教員の会などの諸団体が担当を決めて宣伝カーを連日、運行しています。その効果は大きく、教基法が話題になり、署名に応じる人が急速に増えています。「いじめ自殺」という相次ぐ悲しい出来事や教育現場で起きている事態に市民が心を痛めていることの反映です。

 全北海道退職教職員の会胆振室蘭支部長(73)は、こういいます。「子どもの少ない地域で教えていたことがあります。何をするにも子ども全員が主役でした。家族や地域の協力が欠かせず、こういうところではいじめはありません。安倍首相のやろうとしていることは、いま以上に子どもたちを競争と選別にさらすことになり、いじめの解決どころか、さらにひどくすると市民が思い始めているのではないでしょうか」

 北海道では、「悪法をストップするには、連合だ、全労連だともういってられない」と組織の違いを超えた共同が各地で広がっています。

 二十五日(午前十一時半)には、道平和運動フォーラム(自治労や北教組などで構成)、ほっかいどうピースネット、憲法改悪反対北海道推進センター(道労連などで構成)の三団体がよびかけて、教基法改悪案の廃案を求める「全道一万人集会」を札幌市大通西八丁目広場で開きます。

ラジオでスポット バスに広告

運動もっと広げる

 「愛国心の押しつけはごめんです 子どもたちが輝く学校を だから変えちゃあいけない教育基本法」

 いま、北海道内のラジオや有線放送からは、こうしたスポットが流れ、バスの車内にも「憲法、教育基本法改悪は許さない」と書いた中づり広告がかかっています。

 道南西部、内浦湾に面した伊達市では、北教組伊達支会と高教組室蘭支部、西いぶり市民懇話会でつくる「教育基本法の改悪に反対する伊達連絡会」が十九日、市内四カ所でハンドマイク宣伝を繰り広げました。

 「愛国心教育は戦争への一里塚」と書いた長さ四メートルの横断幕が目をひきます。中学校や高校の教師が、名前を名乗って教基法を変えさせてはならないと訴えました。

 市民懇話会事務局長(67)は「先生たちが『いても立ってもいられない』と、街頭で訴えられた姿に感動しました。十七日に東京で開いた教基法改悪阻止決起集会の熱気あふれる報告もあって、本当に『たたかいはこれから』と思いました。私たちの町でも、もっと運動を広げていきます」といいます。

 伊達連絡会は九、十月と二カ月連続して集会を開きました。九月の「教育フォーラム」では、教師と保護者をパネリストに意見交換しました。

 「学習についてこられない子を困った子として見るのではなく、『困っている子』として見る視線が大切です」と小学校教師。「子どもが体調を崩して学校に行けなくなったとき、担任の先生が『朝がつらいなら、何時でもいいから』とゆっくり見てくれました。それぞれの成長の速度に合わせた対応をしてもらいました」と話す保護者。こうした交流を通じて、学校現場に介入と統制をもたらし、競争と選別をもちこむ教基法改悪案を通してはならないとの思いが広がっていきました。

 道南端の函館市。全労連・函労会議や連合函館、北教組函館支会、高教組函館支部、日本共産党、民主党などでつくる「民主教育をすすめる函館市民会議」が集会や共同宣伝を続けています。

 十四、十五の両日に函労会議が渡島・檜山管内の十八市町に要請した自治体キャラバンでは、首長らが「国会で法改定より、いじめ自殺問題を解明してほしい」といって、子どもの未来にかかわる重大な教基法改定を拙速にすすめるべきではないとのべました。

 北海道では、道教育委員会が二〇〇八年から、一学年三学級以下の全日制高校とすべての定時制高校百十校を統廃合しようと計画しています。

 道高教組の伊藤英敏委員長はいいます。

 「統廃合が実施されると、多くの子どもが遠距離通学を強いられ、経済的に困難な子は高校進学を断念せざるを得なくなります。ワーキングプア(働く貧困層)がいっそう増え、“中卒時代”が到来しかねない。『子どもたちが輝く学校』づくりをすすめるためにも、共同を拡大し、教基法改悪阻止へたたかい抜きたい」

(名越正治)


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