2006年11月23日(木)「しんぶん赤旗」

客室乗務員は過重労働

日航・岩本さん 2審も労災認定


 乗務で海外滞在中に、くも膜下出血で倒れた日本航空の元客室乗務員、岩本章子さん(59)の労働災害認定訴訟で、東京高裁民事二十三部(安倍嘉人裁判長)は二十二日、「業務による過重な精神的・身体的負荷が原因」だとして、一審の千葉地裁に続いて労災と認める判決を出しました。

 業務の過重性について「労働時間だけで評価せず、勤務状況や環境、精神的緊張など総合的に評価すべき」としており、他の労災認定にも影響を与える判決です。

 岩本さんは一九九六年五月、乗務先の香港のホテルで倒れました。会社の規定(月八十五時間)ぎりぎりの乗務が六カ月以上続き、同期と比べても勤務時間は一番長く、南米線・ニューヨーク線など時差もストレスも大きい長大路線に毎月乗務していました。

 成田労基署が二〇〇一年、「業務外」としたため、千葉地裁に提訴し、〇五年勝訴。成田労基署が控訴していました。

 高裁判決は、客室乗務員について「身体的精神的ストレスにさらされやすく、労働密度は相当なもの」と認定。岩本さんの場合、労働時間と乗務内容から「相当負荷の大きい業務が六カ月間継続しており、過重な負荷を生じさせ、疲労を蓄積させた」として、労災に該当すると認めました。

 日航は「私傷病」扱いし、休職期間満了を理由に二〇〇〇年、岩本さんを解雇。岩本さんは、現在も右半身不随と言語障害を抱えています。

 判決後の報告集会で岩本さんは涙ながらに「大丈夫です」とのべ、大きな拍手に包まれました。大森秀昭弁護士は「広く救済に道を開く大きな意義がある」とのべました。


もどる
日本共産党ホーム「しんぶん赤旗」ご利用にあたって
(c)日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 TEL 03-3403-6111  FAX 03-5474-8358 Mail info@jcp.or.jp