2006年11月20日(月)「しんぶん赤旗」

世界穀物需給

ひっ迫傾向 70年代水準

豪・米の干ばつ影響


 世界の穀物需給がひっ迫傾向となっています。

 米農務省が九日に発表した二〇〇六年から〇七年にかけての穀物需給予想は、消費量が二十億四千三百万トンに対し、生産量は十九億六千八百万トンにとどまる見通しで、七千五百万トンほど消費量が上回ります。実際は在庫から充当するために不足にはなりませんが、消費量に対して期末在庫がどれだけの割合かを示す期末在庫率は15・6%となります。

戦後最低レベル

 この在庫率は、アメリカが不作などで大豆輸出禁止措置を発動(一九七三年)するなど食料危機といわれた一九七〇年代前半に近い水準です(グラフ)。FAO(国連食糧農業機関)が七〇年代に示した穀物の安全在庫水準の17%から18%も下回ります。

 供給減の原因は、オーストラリア、アメリカの穀倉地帯の干ばつです。とくにオーストラリアは、戦後最低レベルの減収となりました。日本がうどん用に輸入する小麦は前年比で六割減収です。需要面では、経済発展にともなう中国やインドなどの食用や飼料用の伸び、新たにバイオエタノールの燃料向けが増えています。

 農水省によると、日本向けの小麦は確保される見通しですが、価格は上がります。

 小麦の国際価格(シカゴ相場)は、十月以降に前年比一・六倍に急上昇しました。輸入小麦を管理、供給する農水省食糧貿易課は「異常な国際相場をそのまま製粉企業への売り渡し価格に反映していいのか検討中」といいます。消費者価格にもはね返ります。

影響避けられず

 大豆は、中国が油と飼料用に輸入を増やしているものの、ブラジルや米国の増産により需給と価格は安定しています。期末在庫量が減っているトウモロコシや米は価格上昇傾向となっています。

 農水省は、短期的見通しとして「オーストラリアの干ばつは四、五年に一度はある国。価格が上昇するとほかの国で作付けが増えるので価格は落ちつく」(総合食料局食料企画課)といいます。

 しかし、中長期的には不安定になりそうです。

 輸入商社のシンクタンク、丸紅経済研究所の柴田明夫所長は十月十九日の講演で「小麦価格の上昇は穀物高騰の前触れか」と、安い資源時代は終わりになると指摘しています。

 OECD(経済協力開発機構)とFAO共同見通しでは、二〇一七年までの穀物価格は、わずかの上昇にとどまることになっています。

 しかし、「一番可能性ある数字だが、干ばつや洪水など気候変動、途上国の政治変化、バイオ燃料などは数字で表せない。見通しには穴がある」(農林水産政策研究所の上林篤幸ヨーロッパ研究室長)のが実態です。

 世界の人口は、現在の六十五億人から二〇五〇年には九十億人を超える見込みとなっています。自給率が四割と低下している日本にとって、影響は避けられません。国内生産による自給率向上が必要です。

グラフ

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