2006年11月20日(月)「しんぶん赤旗」

石原都知事の豪華外遊

庶民感覚ズレまくり/福祉削りなぜ…

都民もメディアも批判


 「福祉を削って、自分だけ豪遊とは何だ」。石原慎太郎東京都知事が平均二千万円もかけて超豪華海外出張を十九回も行っていた問題は、マスメディアが大きくとりあげ、東京都には知事にたいする抗議と批判の声が相次いでいます。この問題を告発した日本共産党都議団には「共産党には縁はないが、頑張って追及してほしい」などの声が寄せられています。


抗議のメール

 都生活文化局広報部都民の声課には、十七日昼までに、石原知事の海外出張について、電話やメールで五十件を超える声が寄せられています。同課によると、その内容は、批判的なものがほとんどだといいます。

 たとえば、「都民の感覚からみて、(金額がわかっている)十五回で二億という出張はぜいたくだ」「都民は額に汗して働いて、血税を納めているのに、納めた税金がこのように使われるのは、納得できない」「福祉などが切り詰められているなかで、なぜこういうことが起きるのか。おかしい」というものです。

 日本共産党都議団や党東京都委員会には、これまで共産党を支持していなかった人たちからも激励の電話が寄せられています。「テレビを見て驚いた。石原さんは作家なので悪い人でないと思っていたが、とんでもない。まじめに税金を払っている者として許せない。会社を経営していて共産党とは縁もないし支持もしていないが、この問題では頑張って追及してほしい」「私はどちらかというと自民党に近いほうですが、今度の問題では共産党に頑張ってもらいたい」

「むだ遣いだ」

 マスメディアも民放テレビ四局、大手新聞五紙が、この問題を大きくとりあげました。

 日本テレビが十六日に放送した『NEWSリアルタイム』では、共産党都議団の吉田信夫幹事長の「都民から見たら明確なむだ遣いだ」とのコメントを交え、他県の知事に比べて石原知事の海外出張費がけた違いに高額であることを紹介しました。

 コメンテーターの安田まゆみ氏(ファイナンシャルプランナー)は「庶民の感覚とは、ずれまくりっていう感じ。ガラパゴス諸島行きました。行っちゃったものはしょうがない。それを都民の暮らしにどう還元しているのかというと、ちっとも見えない。それをむだ遣いと言われてもしょうがないんじゃないかと思います。それで福祉を削って、自分だけ豪遊するって何だ。私は絶対許さない」と語りました。

 新聞各紙は「石原知事 規定超す出張費 大型船借り切りも」(「朝日」十六日付)、「知事海外出張 15回で2億4355万円 『近県より突出』」(「毎日」十六日付)、「共産『高額だ』知事『仕事で』 海外視察15回2億4355万円」(「東京」十六日付)、「フザケルナ都知事 海外豪遊2億円」(日刊ゲンダイ十七日付)と報じました。

都庁もびっくり

 都庁の官房系局のある部長は「共産党の記者会見をマスメディアが大きく扱って、びっくりしている。ヒットした記者会見だね」と語るなど、反響が広がっています。

1回平均2000万円

他県は200〜800万円

 ガラパゴス諸島でのクルージングやオートバイレース見物、費用は一回平均二千万円、宿泊費は東京都条例の規定の六・六倍も―。日本共産党都議団が告発した石原慎太郎都知事の豪華海外出張は、内容面では実施する意義がとぼしく、金額面でも他県と比べ、税金の無駄遣いが際立っています。

 就任以来七年半で行った十九回の海外出張のほとんどは、知事の個人的な関心で計画され、うち六回が知事の思い入れの深い台湾でした。海外出張の目的も福祉や教育の充実というものはなく、観光的なものが多数です。

 たとえば二〇〇一年六月のガラパゴス諸島(エクアドル)への出張(総額千四百四十四万円)。三十八万円で小型クルーザーを借り切ったクルージングを楽しみ、二百六万円をかけホテル並みの施設を備えた大型クルーザーで、バルコニー付きの最高級の部屋を借り、四日間の諸島見物に興じました。

 今年五―六月には、五輪招致や観光にかんする調査として、ロンドンと、オートバイの公道レースで有名なマン島へ出張し、総額三千五百七十四万円をかけました。

 ところが、五輪の調査はロンドン五輪組織委員会会長と四十七分間会談し、関連施設をヘリコプターで三十分間視察した程度。マン島ではレースを見物し、その写真を自分のホームページに掲載していますが、東京の島でのレース成功の見通しも調査せず、高額の費用をかけて知事が出向く必要があるのか疑問です。

 石原都知事の海外出張は、費用面でもけた違いです。資料が入手できた十五回分で総額二億四千四百万円、招待による相手側の一部負担があった四回を除くと、一回あたり二千万円使った計算です。

 首都圏の神奈川、埼玉、千葉各県の知事の海外出張は、いずれも一回二百万―八百万円で各県の条例の規定範囲内。これに比べると、石原都知事の突出ぶりは異常です。

 石原知事は、航空運賃はファーストクラス、〇一年のアメリカ出張ではリムジンを六日間借りて百二十七万円も支出。他県では例のない公費による夫人の同行を四回も行っています。通訳も特定の人を日本から随行させるため、一回二百万円前後と高額です。

 〇一年九月のアメリカ出張では、初日のホテル代が規定の六・六倍の二十六万三千円でした。この出張では、増額分は違法だとして返還を求める訴訟が都民から起こされ、東京地裁は今年六月、増額分の一部返還を命じる判決を言い渡しました。ところが、知事は記者会見で、「規定の料金が安過ぎる」と無反省です。

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