2006年11月11日(土)「しんぶん赤旗」

米ブッシュ与党 大敗の衝撃

米政権の柱

宗教右翼 非難浴びる

共和党 ネオコン一掃の動きも


 「今回の選挙はブッシュ大統領とイラク戦争への住民投票であると同時に、いわゆる『ネオコン』に対する住民投票でもあった」―米中間選挙で与党・共和党が十二年ぶりに下院で少数派に転落することが明らかになった八日、「レーガン主義」を掲げる保守派の著名な論客の一人、リチャード・ビゲリー氏はこう述べ、「議会共和党指導部は全員辞職せよ」と息巻きました。(ワシントン=山崎伸治)


 ブッシュ政権によるアフガニスタン、イラクに対する戦争。その主要な推進力の一つとなったのがネオコン(新保守主義)派でした。二〇〇一年に成立した同政権が推し進めてきた「力の政治」が、今回の中間選挙で国民の批判に直面。共和党内では、今回の選挙を機にネオコンを党内から一掃しようとする動きも出ています。

 「われわれはどうして、一九九四年の大きなもくろみと展望から、現在の意味のない争点をめぐる陳腐な政治的点数稼ぎへと変わったのか」

 上院で八議席、下院で五十四議席を増やし、「共和党革命」と呼ばれた九四年の中間選挙。その立役者の一人、ディック・アーミー元共和党下院院内総務は、選挙での同党敗北を前提に、十月二十九日付のワシントン・ポスト紙に寄稿し、共和党の変容を嘆きました。

 社会保障年金の崩壊や「ならず者国家」による核兵器開発、一触即発の中東情勢といった大問題に直面しているにもかかわらず、「共和党議員が取り上げるのは、国旗の冒とくや安楽死、同性結婚といった問題ばかり」だと同氏は言います。中身はともあれ、そこには、「大きな展望」を見失った共和党議員への失望が示されています。

 アーミー氏が批判の矛先を向けるのは「宗教右翼」です。共同議長を務める組織「フリーダム・ワークス」のウェブ・サイトで宗教右翼の指導者を名指しで非難しています。宗教右翼は、ネオコンとともにブッシュ政権を支えてきた一大勢力です。これまでの選挙でブッシュ共和党の重要な集票マシンとなってきました。

 これに対し代表的な宗教右翼「南部バプティスト会議」のリチャード・ランド師は、自分たちがいなければ、二〇〇四年の前回大統領選で「(民主党の)ジョン・ケリーが大統領になっていた」と豪語します。

 しかし、その宗教右翼も、今回の選挙では十分な力を発揮しなかったようです。

 共和党が今後、米国民の幅広い支持の回復を望むなら、宗教右翼との関係は足かせになりかねません。一方の宗教右翼も、汚職やスキャンダル続きの共和党にはいら立ちを隠しません。宗教右翼指導者のスキャンダルも明るみに出ました。

 中間選挙での敗北は、ブッシュ政権を支えてきたネオコンや宗教右翼をはじめ、共和党内のさまざまな勢力の力関係にも大きな変動をもたらすものとなりそうです。


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