2006年10月27日(金)「しんぶん赤旗」

教育基本法改悪法案 徹底審議が必要

「教育再生プラン」・東京地裁判決・いじめ自殺

三つの新しい重大問題


 教育基本法改悪法案をめぐる国会での攻防は、週明けの三十日から衆院教育基本法特別委員会の審議が開始されるなど、重大な局面を迎えています。日本共産党の志位和夫委員長は二十六日、国会内で記者会見し、与党が教育基本法改悪法案について、「前国会で約五十時間の審議をやったので、これにくわえて一定時間の審議をすれば、出口(採決)の問題を考えたい」などと主張していることについて、「こうした主張は、絶対に認めるわけにはいかない。国民の前で一からの審議が必要だ」と強調しました。


志位委員長が会見

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(写真)記者会見する志位和夫委員長=26日、国会内

 志位氏は、前国会での日本共産党の論戦で、政府提出の教育基本法改悪法案が、(1)国家による「愛国心」の強制など憲法一九条に反する、(2)教育内容への無制限の国家的介入を可能にし、憲法に保障された教育の自由と自主性をふみにじる――という二つの大問題が明らかになっているとしたうえで、前国会以降の情勢の進展のなかで、「三つの新しい重大問題」が生まれているとし、「それぞれについて国民の前で徹底審議が必要だ」とのべました。

 第一は、安倍新内閣が、「教育再生プラン」という新しい政策体系を提起していることです。志位氏は、同「プラン」が、全国一斉学力テストの実施とその結果の公開、学校選択制の全国的な拡大、国家による監査官の配置、「バウチャー制」といわれる予算での学校差別を柱とする一連の教育政策をうちだしていると指摘。「この『プラン』と教育基本法改定とは一体のものであり、基本法改定が強行されたら何がなされるかを示している。これは国会ではまったく議論されていない新しい問題だ」として徹底審議が必要であることを主張しました。

 第二は、東京都がすすめている「日の丸・君が代」強制にたいして、九月二十一日、東京地裁が違憲・違法との判決をくだしたことです。志位氏は、「判決は、都による強制が、憲法一九条、教育基本法一〇条に反しているという審判を、道理にたった法理にもとづいて下している。これは教育基本法改定案の論理の中心点を断罪した判決でもある」として、「この司法の判断を、立法府としても重く受け止め、徹底した審議をおこなうことは、当然の責務だ」とのべました。

 第三は、いじめ自殺の問題が、大きな社会問題となり、いじめの克服が国民的課題となっていることです。

 志位氏は、「いじめ克服のために何が必要かを真剣に明らかにする審議を最優先でおこなう必要がある。わが党は、基本法を改定すれば、競争主義がいっそうひどい形で教育におしつけられ、学校の『荒れ』をいよいよ深刻にすると考えているが、基本法改定とのかかわりも明らかにされるべきだ」とのべました。さらに志位氏は、政府が設置した「教育再生会議」が、二十五日の「いじめ緊急アピール」のなかで、いじめ問題について、「これから真剣に検討する」としていると指摘。「政府自身が、『これから検討する』と克服の方向性さえ示せないもとで、教育の根本法である基本法を改定するなどということは絶対に許せるものではない」と強調しました。

 志位氏は、「基本法改定案の骨格での憲法に反する問題点とともに、これらの三つの新しい重大問題についても、国民の前での徹底審議が必要だ。私たちは徹底審議を通じて廃案をめざす。法案をめぐって重大局面となっているが、院外のたたかいと共同して全力をつくす」と表明しました。


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