2006年10月23日(月)「しんぶん赤旗」
すすむ底辺層の生活向上
貧困世帯 58%(93年)から19%(06年)に
ベトナム
ベトナムは昨年に続き今年も年8%以上の経済成長政策をとっています。この中で、貧困削減プロジェクトなど底辺層の生活向上策で全体の引き上げをはかっているのが特徴です。
(ハノイ=鈴木勝比古 写真も)
![]() (写真)クアンナム省人民委員会のグエン・ドク・ハイ委員長 |
グエン・タン・ズン首相はハノイで十七日に開会した国会での政府報告で、二〇〇六年に達成した成果として、貧困世帯を前年度の22%から19%に削減したことをあげました。また百六十万人に就業を保障した、五歳未満の栄養不良児を25%から24%に引き下げたと説明しました。
政府報告は二〇〇七年度目標として貧困家庭を今年の19%から17%まで削減すること、今年と同じ百六十万人の就業保障、五歳以下の栄養不良児を今年の24%から22・3%以下に減ずることなどの諸目標達成を呼びかけています。
国際的に高評価
![]() (写真)北部中国国境に近いラオカイ省の少数民族の子どもたち=2000年9月 |
ベトナムは数十年間の戦争とその後の経済的困難を経て、現在の経済水準はまだ東南アジア諸国連合(ASEAN)の先進レベルに追いついていません。しかし底辺人口の生活指標の改善は際立っています。
政府報告はその要因として、「多くの困難を抱えた農村と少数民族同胞の居住地域を支援する特別な手立ての実施」「洪水被災地域への投資の増大」「電気の普及や村落から中心地域への交通網の発展」「中小企業発展奨励策の強化」などをあげています。また枯れ葉剤被害者、身寄りのない高齢者、孤児、身体障害者への援助にもふれています。
ベトナムの貧困削減プロジェクトは国際的に高く評価されています。ベトナム援助国会議は〇三年十二月の会議で「ベトナムの貧困削減の成果は(世界の)経済発展におけるもっとも成功した例である」と評価しました。
昨年九月の国連首脳会議でもベトナムの貧困削減の努力がたたえられました。ベトナムは、一五年までに貧困人口を一九九〇年水準の半分にするという国連ミレニアム目標をすでに達成しています。
生産意欲を刺激
ベトナム労働省のダム・フー・ダック次官によると、貧困削減プロジェクトは(1)優先的融資、技術指導などで貧困家庭の生計を助ける(2)医療、教育、住居などを援助する(3)プロジェクトに携わる幹部の能力向上をはかる―を主な内容としています。貧困世帯は九三年の58%から〇六年には19%まで減りました。
地域によっては、さらにめざましい成果をあげたところもあります。
クアンナム省では、貧困家庭をこの五年間で23%から9%まで削減しました。同省人民委員会のグエン・ドク・ハイ委員長は、「貧困削減プロジェクトが村おこしや農民の生産意欲の刺激につながり、農村経済を活性化する役割を果たしています」と語っています。



