2006年10月22日(日)「しんぶん赤旗」

主張

放課後子どもプラン

二つの事業それぞれの拡充を


 厚生労働省と文部科学省は、二〇〇七年度概算要求に、小学校の放課後対策を拡充する「放課後子どもプラン」を盛り込んでいます。

 放課後子どもプランは、学童保育の「放課後児童健全育成事業」(厚生労働省)と、すべての子どもを対象にした「放課後子ども教室推進事業」(文部科学省)の二つから成り立っています。

 しかし、都道府県には補助金の一本化を、また、実施主体である市町村には「一体的あるいは連携して」実施するよう求めていることが、危ぐされます。

遊びと生活の保障を

 学童保育の待機児童解消、子どもの安全対策、遊び場の確保など、子育ての願いは切実です。学童保育と放課後子ども教室の目的・役割にそってそれぞれを拡充させることが大切です。

 学童保育は、保護者が就労のため昼間家庭にいない、おおむね十歳未満の子どもが対象です。「ただいま」「おかえり」のあいさつが象徴するように、家庭にかわる生活の場です。小学校の低学年の子どもは、学校にいる時間より、学童保育で生活している時間の方が、はるかに長いのです。

 概算要求では、学童保育を五千九百カ所増やして二万カ所の小学校区につくること、子どもが七十一人以上いる大規模学童保育の分割、補助の増加につながる基準開設日数の弾力化、設備費補助の創設を盛り込んでいます。父母、指導員などの要求と運動を反映し、約七十億円増の要求額となっています。

 同時に、学童保育の子どもの生活を継続して安定的に保障する指導員の配置基準や労働条件の改善が急がれます。生活の場にふさわしく、施設の設置基準や運営基準をつくり、条件を整備していくことが求められます。

 一方、放課後子ども教室推進事業は、すべての子どもが対象です。安心・安全な子どもの活動拠点、居場所を設け、勉強とスポーツ、文化活動、地域住民との交流を行うとしています。二〇〇六年度までの三年計画で実施している「地域子ども教室推進事業」のとりくみをふまえ、新たに創設されます。

 現在、地域子ども教室は、八千カ所で行われていますが、三分の一以上が土日だけの実施です。これを拡充し、すべての小学校区で、平日と土曜日に放課後子ども教室を開くとしています。

 これまでの安全管理員に、学習アドバイザーを加え、〇六年度に比べ倍額を要求していますが、国が全額出し、民間団体に委託する方式から地方自治体が三分の二を負担する仕組みに変わります。

 現行の子ども教室推進事業に参加しているNPO(民間非営利団体)からあがっている、子どもの居場所づくりのための財政的支援の継続を求める声に、国と自治体はこたえるべきです。

廃止・後退許されない

 厚生労働省と文部科学省は、二つの事業を行うにあたり、「学童保育の対象児童に対しては、現在と同様のサービスを提供することとする」としています。

 そのためには、二つの事業の財源をそれぞれ確保し、増額する必要があります。“一体化”を口実に、遊びと生活の場という学童保育の内容を変質させることは許されません。

 学童保育も、放課後子ども教室もどちらも充実・発展させることが必要です。


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