2006年10月17日(火)「しんぶん赤旗」

中2自殺 地域に衝撃

教師の言動が誘因

福岡・筑前町 全校集会で校長陳謝

生徒を差別 「出荷できないイチゴ」


 「学校への信頼が根底から裏切られた」―。福岡県筑前町の中学二年生の男子生徒(13)が、いじめを受けたという遺書を残して自殺した事件で、教師の言動が自殺の誘因となっていたことが明らかになり、地域・保護者に大きな衝撃を与えています。


 学校側は十六日、午前八時半すぎから全校集会を開き、校長が「私たち教師が手をぬいたり、乱暴な言葉や甘えがありました。本当に申し訳ない」と生徒の自殺の要因に教師の側の不備があったことを陳謝しました。

 中学校はちょうど、中間試験の真っ最中。ときおり、窓から顔をのぞかせる生徒以外は、学校は静まり返り、校門前を保護者が車で迎えに来る姿が目立ちました。

 学校側は十五日夜、緊急の保護者への説明会を開き、事件の経過を説明。関係者の話によると、一年生の時の担任教師が、生徒に対し生徒の人格を無視する発言や差別的言動を繰り返し、クラスでも生徒が、それにちなんだ「あだ名」がつけられ、いじめられるようになったといいます。

 この教師は、ほかの生徒にもイチゴの品種に例えて、(高価な)「あまおう」「とよのか」「お前は出荷できないイチゴ」などとランク付けをし、女子生徒には「君は太っているから豚だ」といって、漢字を書いたりしていました。

 消しゴムを拾った生徒には「偽善者」と言い、自殺した男子生徒が拾うと「偽善者にもなれない偽善者」と言ったといいます。

 生徒が通っていた校区に住む女性は、「先生が子どもの守り手になってくれない。学校現場はいったいどうなってしまっているのか」と言葉を詰まらせます。

 「中学では、『学級内のことは学級内で解決するべき』と担任教師に問題を押し付ける体制をとっていた。こういう姿勢が、教師を含めた深刻ないじめを放置してきた原因にあるのではないか」と指摘する声も聞かれました。

 亡くなった男子生徒の近所に住む男性(75)は、「明るく朗らかな性格で、簡単に命を捨てるような少年でなかった。彼が何で死ななくてはならなかったか」と衝撃を隠せない様子。子どもの尊厳が守られなければならない学校現場で、教師を含めた人権侵害がおこなわれていたことに、「学校側が自殺の原因をきちんと明らかにしなければ、生徒や保護者、地域の信頼は決して戻らない」と厳しい表情で話していました。


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