2006年10月9日(月)「しんぶん赤旗」

米共和党議員の醜聞

下院幹部が隠ぺい

政治問題化、中間選挙に影響


 【ワシントン=山崎伸治】米共和党のマーク・フォーリー下院議員が議会の「付き添い人」の少年に性的な内容の電子メールを送っていたことが判明、さらに下院の共和党幹部がこれを隠ぺいしようとしていたことがわかり、米国で大きな政治問題になっています。同議員は議員を辞職しましたが、中間選挙への影響は避けられず、共和党は対応に苦慮。民主党は攻勢に出ています。

 議会の「付き添い人」(ページ)は約百八十年の歴史のある制度で、十六歳以上の高校生が議会で書類運びなどの仕事にあたるというものです。議員の推薦で選ばれ、下院には六十人から八十人います。

 フォーリー前議員は二〇〇三年から、複数のページ、元ページの少年に性的な内容の電子メールを送っていました。未成年者に対する性的な行為は犯罪です。

 メールの一部を入手した米ABCテレビからインタビューを受け、同氏は九月二十九日に辞任を表明しました。十一月の中間選挙では再選確実といわれていました。

 しかし問題は同氏の辞任だけで終わりません。下院の共和党指導部がこの問題を知りながら隠ぺいしようとしていたことが明らかになり、同党に対する世論の批判が強まったからです。

 米紙ワシントン・ポストの報道によると、同党のジョン・ベイナー下院院内総務は今年の春に問題を認識。被害者のページを推薦したロドニー・アレグザンダー下院議員も数カ月前にマスコミからメールの話を聞かされ、選挙対策委員長のトーマス・レイノルズ下院議員に報告。同議員はデニス・ハスタート下院議長にそのことを伝えていました。

 にもかかわらず、ハスタート氏は具体的な手立てを取らなかったことから、同氏に対する批判の声が共和党内からも噴出。保守派の米紙ワシントン・タイムズが社説で同氏の辞任を要求したほどです。さらにその後、フォーリー氏の元補佐官が三年前からハスタート氏に問題を伝えていたことを明らかにしました。

 しかしハスタート氏は五日の記者会見で、フォーリー氏の辞任まで問題は知らなかったと述べ、辞任要求を一蹴(いっしゅう)。それどころかこの問題をリークしたのは民主党ではないかと述べる始末です。

 一方、下院倫理委員会は同日、超党派のメンバーによる調査を行うよう表明。ところが同委員会の共和党出身のドク・ヘイスティングズ委員長とジュディ・ビガート委員がハスタート氏から選挙資金の提供を受けていたことが五日付の米紙USAトゥデーで指摘され、「調査」にすでに疑問の声が上がっています。

 この問題は一カ月後に迫った中間選挙での争点として急浮上。AP通信などの世論調査で、腐敗・スキャンダル問題を重視するという有権者が半数を占め、選挙結果に影響することは必至となっています。

 イラク戦争で落とした支持を「対テロ戦争」で巻き返そうとしてきた共和党にとって、ことは深刻。七日付の米紙ニューヨーク・タイムズは、この問題が、過去二回の議会選挙で共和党勝利に大きく貢献した「宗教保守派」の「熱意」をそいでいると指摘しています。

 一方の民主党はこの問題を大いに利用して、ネガティブ・キャンペーン(相手候補の弱点を攻撃する宣伝)をすでに展開しています。


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