2006年9月30日(土)「しんぶん赤旗」

安倍首相 所信表明

集団的自衛権行使へ「研究」

改憲の方向打ち出す

歴史・靖国に言及せず


 安倍晋三首相は二十九日、衆参両院の本会議で、就任後初の所信表明演説を行いました。海外での武力行使を可能にする集団的自衛権の行使について、「個別具体的な例に即し、よく研究していく」と容認に向けた作業に着手する方針を表明しました。憲法については「現行の憲法は、日本が占領されている時代に制定され、既に六十年近くたった」として改定の方向を打ち出し、改憲手続き法案の早期成立に強い期待を表明しました。しかし、歴史認識や靖国神社参拝問題には全く言及しませんでした。


 安倍首相は、政府の憲法解釈で禁止されている集団的自衛権の行使について、容認へと踏み出す理由に、“日米同盟の効果的な機能”をあげ、米国と「海外で戦争をする国づくり」の立場を鮮明にしました。

 在日米軍「再編」については米軍基地移設と地域振興策をリンクさせて、「着実に進めていく」と強調。日米同盟強化を図る具体策として、「首相官邸とホワイトハウスが常に意思疎通できる枠組みを整える」とのべました。

 目玉にかかげる「教育再生」では、教育基本法改悪法案の早期成立を表明。教員免許の更新制や学校の外部評価の導入をすすめ、内閣に有識者からなる「教育再生会議」を設置することを打ち出しました。

 「内閣の重要課題」として「再チャレンジ支援策」を掲げましたが、非正規雇用を増大させた労働法制での規制緩和を改める姿勢は示さない無反省ぶりでした。

 消費税について「逃げず・逃げ込まずという姿勢で対応していく」とのべ、増税方針を色濃くにじませました。


 集団的自衛権 政府は「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されてもいないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と説明しており、海外での武力行使を認めるもの。第二次世界大戦後、米国が自由に戦争に乗り出せるよう国連憲章に盛り込みました。実際、米国のベトナム侵略や旧ソ連のアフガニスタン侵略などの口実にされてきました。


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