2006年9月27日(水)「しんぶん赤旗」

日本の学費は「世界一高い」 本当ですか ?


 〈問い〉 日本の学費は「世界一高い」というのは本当ですか? 教育改革というならそこから解決すべきとおもうのですが。(京都・一読者)

 〈答え〉 大学の初年度納付金は、国立大学で約82万円、私立大学で約131万円です。1970年比で国立が51倍、私立が5・7倍に跳ね上がりました。学生の7割が相対的に高い私立に通っています。

 親の所得の減少もあり、学生生活の貧困化がすすんでいます。東京私大教連の調査(05年度)によると、首都圏の私立大学の下宿生の生活費(「仕送り額」から「家賃」をのぞいた額)は、10年前の6万8200円から4万2700円に減少しています。これは、調査開始(86年度)以来の最低額です。

 日本の学費が異常に高いことは、欧米諸国と比べると歴然とします。

 OECD(経済協力開発機構)加盟国30カ国中15カ国は授業料を徴収しない無償制です。フランスは授業料がなく、1万9千円の学籍登録料のみです。北欧の3カ国とデンマークは登録料さえもない、より徹底した無償制です。

 これらの国では、学生が学業に専念できるよう生活費に充てることを目的にした返還の必要のない給費制の奨学金も充実しています。

 日本の奨学金制度は、学費補てんにも届かず、返還を義務づける貸与制です。しかも、半分以上が有利子です。アメリカの私立大学の学費はかなり高額ですが、学生の7割は学費の比較的安い州立大学に通っています。奨学金制度は日本の10倍以上の財政規模をもち、学生の7割が何らかの奨学金を受けています。学生がいる家庭には年十数万円程度の減税措置もあります。

 アメリカ・ワシントンDCとカナダ・トロントを基盤に活動する「教育政策研究所」がまとめた「グローバル高等教育ランキング2005」によると、各国の学費や生活費、奨学金などをもとに学生の経済的負担を15カ国、16地域で比較したところ、日本は総合で学生負担が最も重いとされました。

 文字通り、日本の学費は「世界一高い」のです。(誠)

 〔2006・9・27(水)〕


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