2006年9月26日(火)「しんぶん赤旗」

労働局「事実なら指導」

偽装請負告発者の不採用

愛知


 労災隠しと偽装請負を告発した青年が、偽装を摘発された発注企業「トヨタ車体精工」(TSK、愛知県高浜市)に継続雇用からはずされた問題で、愛労連(愛知県労働組合総連合)の榑松佐一事務局長らは二十五日、愛知労働局にTSKへの指導を要請しました。

 Kさん(21)は、TSKの工場で全治四週間のけがをしましたが、TSKとKさんを雇用する派遣会社「大起」は労災の報告を怠りました。Kさんが告発し、偽装請負も判明しました。大起は八月末に破産。解雇された労働者は発注元のTSKが継続雇用しましたが、Kさんと同居人のHさん(20)は解雇されました。

 榑松氏らは「偽装請負期間中の労災事故は、発注元のTSKに責任がある」「TSKが労災と偽装請負を告発したKさんを採用しなかったのは不当であり、指導すべき」だと主張しました。

 労働局は、労災事故について「TSKの責任の度合いは実態を調査してから判断する」と回答。Kさんの雇用問題については「それが事実なら指導する。TSKには採用の自由はあるが、基本的人権を侵してまでの自由ではなく、指導の対象になる」と述べました。

 労働局はまた、偽装請負が多発していることから「東海四県の労働局の共同で、十月から『ストップ偽装請負』のキャンペーンを行う」ことを明らかにしました。

 愛知労働局によると、昨年度の派遣・請負事業所への指導監督件数は四百三十九事業所。うち二百六十七事業所(60・8%)で法違反が確認され、是正指導が行われています。


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